6月下旬のこと。前日の雨風で空気が澄んだ快晴の日。「こんな日が最適」とばかりにカメラを手に、屋島山頂の「獅子の霊巌展望台」に向かった。

 瀬戸の夕日を撮影するためだ。ここからだと、南は高松港、北は小豆島までが見渡せる。手前には女木島があり、遠方には瀬戸大橋も見えた。


日暮れ前、黄金色に輝く瀬戸内海。女木島(右手前)や大槌島(奥)、フェリーなども影絵のように見える(高松市屋島東町の獅子の霊巌展望台から)


 夏場の太陽は正午ごろは高松市街地上空に見え、時間とともに瀬戸内海をまたぎ、夕日は女木島の向こうに沈んでいく。オレンジ色の夕日になる前、陽光は海面をまぶしく照らし、女木島南方一帯を黄金色に染める。島も、潮の流れも、海上を行き来するフェリーなども、全てが光と影で描かれた影絵のようだ。

 撮影から2カ月ほどたった先日、再び展望台へ。前回の蒸し暑さとは打って変わり、同じ夕刻には心地良い風が吹いていた。海を眺めると、今度は雲の切れ間からのぞく夕日の光が、一筋に海面を染めていた。

(四国新聞・2019/09/01掲載)



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