新春恒例の「第66回日本伝統工芸展」(県立ミュージアム、日本工芸会など主催)が2日、高松市玉藻町の県立ミュージアムで開幕した。漆芸、陶芸、金工など7部門の計280点を展示。全国の匠(たくみ)による新たな時代の美を追究した逸品が、多くの来場者を魅了している。19日まで。



 日本伝統工芸展は国内最大規模の公募展で、会場には受賞作16点をはじめ四国在住作家の入選作、重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品などを展示。県在住の作家17人のほか、県漆芸研究所の修了生ら香川ゆかりの作家の17点もある。

 漆芸部門では全入選作の82点を紹介。香川の人間国宝は山下義人さん(高松市)と、生前に出品した故太田儔(ひとし)さん(高松市)の作品が並ぶ。

 このうち辻孝史さん(高松市)の入選作「籃胎存清食籠(らんたいぞんせいじきろう)『双虹(そうこう)』」は、高松市の工房から見える山々と虹を、存清と布目彫り蒟醤(きんま)の技法で描写した心和む作品。北岡道代さん(高松市)の「蒟醤箱『輪廻(りんね)』」は、仏教の輪廻と六道の世界を蒟醤で神秘的に表現している。

 会場では工芸ファンらがじっくりと鑑賞。滋賀県彦根市のエンジニア田原瑠美さん(38)は「それぞれ作家の世界観が表れており、どれも息をのむ美しさ」と話していた。

 会期中無休。4、5、12、18、19日の13:30から作家による解説がある。11日は13:30から色絵磁器の人間国宝、今泉今右衛門さんが講演する。

(四国新聞・2020/01/03掲載)

香川県立ミュージアム


所在地 高松市玉藻町5-5
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日)
TEL 087-822-0002


関連情報