菊池寛もマスクで予防 高松、記念館で特別展示 スペイン風邪題材に作品
香川県高松市出身の文豪・菊池寛が大正期に世界各国で流行した「スペイン風邪」について書いた作品を集めた特別展示「菊池寛とマスク」が、香川県高松市昭和町の菊池寛記念館で開かれている。感染予防に努める自身の姿を描いた小説「マスク」など3作品を紹介。作品の一部を抜粋したパネルやマスク姿の寛の写真など14点を展示している。30日まで。
スペイン風邪は、1918~20年頃にかけて流行したインフルエンザ。世界での患者数は約6億人、国内でも約2300万人が感染し、約38万人が亡くなったといわれる。
作品「マスク」は、20年に雑誌「改造」で発表された短編小説。心臓が悪いため、スペイン風邪を恐れて3月末までマスクを手放さず感染予防に努めていた寛が、だれも着用しなくなった初夏に堂々とマスクをしている青年と出会い、不快さを感じる話。
朝夕に過酸化水素水でうがいをしたり、極力外出を控え、やむを得ない用事の際には、ガーゼをたくさん詰めたマスクを掛けて出掛けたりするなど、徹底して感染防止に取り組む生活ぶりを紹介。新聞に掲載される死亡者数の増減に一喜一憂する様子なども描かれている。
このほか、友人の久米正雄がスペイン風邪にかかったことをもとにした小説「神の如く弱し」のほか、感染した芥川龍之介が辞世の句を記した書簡も展示している。
菊池寛記念館のホームページでは現在、作品「マスク」の全文を公開している。同館は「新型コロナウイルスへの対応に追われる現在の状況と重なり、共感する点も多いと思う。多くの人に作品に触れてもらえれば」としている。
(四国新聞・2020/06/14掲載)
菊池寛記念館
所在地 | 香川県高松市昭和町1-2-20 サンクリスタル高松3F |
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営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
観覧料 | 一般200円、大学生150円
※高校生以下無料
※65歳以上(年齢を確認できるものの提示で観覧料免除)
ほか |
休刊日 | 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日から1月3日) |
TEL | 087-861-4502 |