107日間にわたる現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019」の会期は残すところあと1週間となった。本島(丸亀市)、高見島(多度津町)、粟島(三豊市)、伊吹島(観音寺市)の中西讃4島も加わった秋会期は、アジアの作家が新たな視点から島と自国の文化を見つめた作品を展示。島の特産品や郷土料理を使ったお接待など「島メシ」も評判を呼んでいる。

 これまでの来場者は、春会期が38万6909人、夏会期が31万8919人と、1日当たりの来場者はいずれも前回を上回った。9月28日に開幕した秋会期は、10月6日までの9日間で9万8866人と前回同時期に比べ減少したが、一部の船便では積み残しが発生するなど週末を中心に混雑が続いている。

 今回の重点項目の一つがアジアとの交流。粟島で作品を展開するベトナムのディン・Q・レさんは、空き家の多い島の現状を「悲しい」と感じ、空き家にベトナムの紡績工場で廃棄される布を使ったラグを敷いた。マッサージチェアなど持ち主の気配を残す家は、赤やピンク、黄、花柄などとりどりの「ベトナムカラー」で彩られ、「かわいい」「写真映えする」と人気を呼んでいる。


ディン・Q・レさんの作品は、ベトナムの紡績工場で廃棄される布を使ったラグを民家の中に敷き詰めている=三豊市、粟島


 島民との交流や郷土料理も瀬戸芸のだいご味。高見島では、町民有志によるボランティアグループ「さざえ隊」が土日祝日に伝統食の茶がゆをお接待している。台湾から訪れたサミー・チェンさん(33)は「サツマイモが入っていて食感がいい。おいしかった」と思わぬおもてなしを喜んでいた。


塩飽の伝統食「茶がゆ」でもてなしを受ける観光客=多度津町高見島、中塚邸


(四国新聞・2019/10/29掲載)


瀬戸内国際芸術祭2019


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