新春恒例の「第67回日本伝統工芸展」(香川県立ミュージアム、日本工芸会など主催)が2日、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開幕した。漆芸、陶芸、諸工芸など7部門で計200点を展示。会場には初日から熱心な美術ファンらが訪れ、全国の匠(たくみ)の技が光る逸品の数々をじっくり鑑賞していた。1月17日まで。


全国の作家による力作200点が並ぶ「第67回日本伝統工芸展」。熱心に鑑賞する来場者の姿が目立った=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

全国の作家による力作200点が並ぶ「第67回日本伝統工芸展」。熱心に鑑賞する来場者の姿が目立った=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 全国10都市を巡回している日本伝統工芸展は国内最大規模の公募展で、高松展では入賞作16点と重要無形文化財保持者(人間国宝)42人の作品を含む入選作を展示。香川県内からは漆芸の12人をはじめ、陶芸2人、諸工芸1人の計15人が入選しており、全作品が並んでいる。香川県漆芸研究所で学び、他県で活躍する漆芸家の入選作もある。

 香川が漆芸の盛んな地域であることから、漆芸部門では全ての入選作を紹介。さぬき市の山下哲二さんの入選作「蒟醤存清(きんまぞんせい)盛器『新緑』」は、若葉とその背景を蒟醤と存清で表現。葉の立体感からは繊細な筆遣いを見ることができる。香川県漆芸研究所修了生で東京都の神垣夏子さんの入選作「籃胎(らんたい)蒟醤茶箱『ネム』」は、ネムノキの葉の緑色と花の朱色のコントラストが特徴。香川の人間国宝は蒟醤の山下義人さん(高松市)と昨年新たに蒟醤の人間国宝に認定された大谷早人さん(高松市)が出品したほか、2019年に死去した太田儔さんの遺作もある。

 綾川町から訪れた辻村宮子さん(90)は「毎年初日に来るのが楽しみ。一つ一つの模様が細やかで、作者の思いが伝わってくるようで圧倒された」と話していた。

 会期中無休。9日13:30から香川県美術コーディネーターの住谷晃一郎さんが「彫りと色彩の讃岐漆芸」と題して講演する。また、会期中は香川県内の作家による列品解説を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。

(四国新聞・2021/01/03掲載)


香川県立ミュージアム

第67回日本伝統工芸展


会場  香川県立ミュージアム 2階特別展示室(香川県高松市玉藻町5-5)
会期 2021/1/2(土)~1/17(日)会期中無休
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
観覧料 一般650円、前売・団体(20名以上)520円
※高校生以下、65歳以上、身体障害者手帳等をお持ちの方は無料
TEL 087-822-0002


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