漆芸界のベテランから新進作家までの作品がそろう「日本伝統漆芸展」(日本工芸会など主催)が13日、高松市紺屋町の市美術館で開幕した。伝統技法をさらに磨き、新たな表現や現代的なデザインに挑戦した意欲作の数々が来場者を魅了している。28日まで。


全国の漆芸家の力作に見入る来場者=高松市紺屋町、市美術館


 日本伝統漆芸展は、伝統の継承と発展を目的に毎年開催しており今年で38回目。東京など5会場で開かれる巡回展で、今年は全国から応募があった99点のうち、入賞8点を含む全入選作87点を紹介している。県内からは入賞2人を含む12人の作品が並んでいる。

 さぬき市の松原弘明さん(54)の「彫漆盛器(ちょうしつもりき)『早春』」は最高賞に当たる文部科学大臣賞を受賞。香川漆芸の技法である彫漆を用いて春らしい雪割草(ゆきわりそう)をあしらい、白とピンク色のグラデーションでその生命力を表現した。MOA美術館賞に輝いたさぬき市の石原雅員さん(61)の「堆漆象嵌蔓草文小箱(ついしつぞうがんつるくさもんこばこ)」は、彫漆と蒟醤(きんま)の技法で中東で使われる蔓草文様を現代的にデザイン。異国情緒漂う意匠が目を引いている。

 また、いずれも蒟醤の重要無形文化財保持者(人間国宝)の山下義人さん=高松市=、大谷早人さん=高松市=の作品のほか、故太田儔(ひとし)さん=高松市=の遺作も並び、来場者の視線を集めている。

 会場を訪れた土庄町の男性は、「気の遠くなるような細かい装飾が見事です」と話していた。

(四国新聞・2021/03/14掲載)


第38回 日本伝統漆芸展

第38回 日本伝統漆芸展


開催期間 3月13日(土曜日)~3月28日(日曜日)
所在地
香川県高松市紺屋町10-4
高松市美術館1階 常設展示室1
営業時間 9:30~17:00
(ただし、3月13日(土曜日)、19日(金曜日)、20日(土曜日・祝日)は19:00まで)
定休日 月曜日
TEL 087-823-1711


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