ベネッセホールディングス(岡山市)は9日、来年3月に二つのアート施設を直島町内にオープンすることを明らかにした。施設は「ヴァレーギャラリー」と「杉本博司ギャラリー 時の回廊」で、第一線で活躍する作家の作品を数年ごとに入れ替えながら展示する。同日、同町のベネッセハウスパークで概要を発表するとともに、今年3月に町内に設置した現代美術家・杉本博司さん(73)による建築作品の茶室を報道陣に公開した。

 発表には杉本さんら4人と、ベネッセアートサイト直島の福武総一郎代表がオンラインで参加した。

 発表によると、ヴァレーギャラリーは建築家・安藤忠雄さんが設計。既存の地中美術館とベネッセハウスの間に位置し、広さは96平方メートル。ほこらをイメージしたコンクリート製で、自然光や風を取り入れる半屋外の建築となっている。第1弾の展示として美術家・草間弥生さんの現代アート「ナルシスの庭」と、東京芸大教授の小沢剛さんの造形作品「スラグブッダ」が並ぶ予定。

 杉本ギャラリーは、安藤さんが設計したベネッセハウスパークの地下など一部を改修。広さは1372平方メートルで、写真や彫刻など杉本さんの代表作を展示する。島内に複数の作品を残している杉本さんは「直島は制作の幅を広げるきっかけになった思い入れのある地。ギャラリーで作品群を多面的に見てほしい」と語った。

 一方、公開した茶室は「硝子(がらす)の茶室『聞鳥庵(もんどりあん)』」。天井と四方を透明のガラスで囲っており、瀬戸内の風景に溶け込む設計。イタリアなど海外の建築展に出品されたもので、直島で恒久展示する。普段は中に入れない。この日、茶室開きが行われ、武者小路千家15代家元後嗣の千宗屋さんが小林町長に茶を振る舞った。

(四国新聞・2021/10/10掲載)



「硝子の茶室『聞鳥庵』」で小林町長(左)を招いて行われた茶室開き=直島町、ベネッセハウスパーク


硝子の茶室『聞鳥庵』

ベネッセハウス パーク



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