香川県三豊市詫間町の志々島にある「天空の花畑」と呼ばれ、島に住む高齢女性らが世話を続けている花畑で、シバザクラやネモフィラ、キンセンカが一斉に咲き、ベストシーズンを迎えている。女性らは2年前に少雨でシバザクラが全て枯れてしまう苦難を乗り越え、海に面した山の斜面を覆い尽くす「花のじゅうたん」をよみがえらせた。シバザクラの見頃は今月下旬まで。


「天空の花畑」に咲き誇るシザバクラ。奥にはネモフィラ、キンセンカも=三豊市詫間町、志々島


 花畑を管理しているのは、「花の島」として知られた志々島で最後の花き農家だった高島孝子さん(87)と、長男で多度津町在住の直宏さん(60)、千鶴さん(57)夫妻。花いっぱいの島にして往時のにぎわいを取り戻したいと、6年ほど前から株を増やし、ベンチやブランコ、「幸せの鐘」を置くなどの周辺整備を進めてきた。

 2020年夏にシバザクラが全滅した時、直宏さんは「もう栽培をやめようか」と心が折れかけたが、孝子さんの「もう1回だけやってみよう。私も頑張る」の言葉に奮起し、新たに株を植栽。平日に孝子さんが、週末には直宏さんと千鶴さんも加わって草抜きや水やりを続けた。

 そのかいあって2年目の今春、ピンクや薄紫、白のシバザクラが「今までで一番きれい」(孝子さん)というほど見事に咲き誇った。16、17日の土日には計400人以上が来訪。孝子さんは「しんどいと思うこともあるけど、花が好きだから。大勢が見に来て、喜んでくれるのがうれしい」と話し、観光客からのねぎらいに満面の笑顔で応えている。

 直宏さんは、観光客にゆっくり滞在してもらうためのトイレ設置をはじめ、水のくみ上げができる水道や電気の引き込みを目的に、クラウドファンディング(CF)を昨年10~12月に実施するなどして全国の約300人から支援を得た。早速、水道の整備が実現し、5月には電気も通じるめどが立った。

 CFの寄付者にはコースターとしても使える手作りの絵馬を渡し、多くの人が来島記念として花畑につるしている。「きれいなお花をありがとうございます」「この美しい花畑がいつまでも見られますように」などのメッセージがずらりと並んでいる。

 「天空の花畑」は志々島港から「孝子さんの花畑」の案内表示に沿って徒歩約10分。見学自由。今月末からはマーガレット、初夏にはアジサイが見頃となる。

(四国新聞・2022/04/20掲載)



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