西アフリカのガーナに投棄された電子機器などの廃材を利用してアート作品をつくる美術家・長坂真護(まご)さん(37)=東京都=のギャラリーが13日、香川県土庄町の小豆島国際ホテル1階にオープンした。作品の売り上げは、電子機器のリサイクル工場建設など、循環型社会構築に向けた取り組みに使われる。長坂さんは「美しい小豆島もガーナも同じ地球上にある。アートを通じて環境問題を解決し、地域を活性化させたい」と意気込んでいる。


廃棄されていたパソコンのキーボードやアイロンなどを組み合わせた作品をバックに「アートを通じて環境問題を解決したい」と話す長坂さん=香川県土庄町、小豆島国際ホテル

廃棄されていたパソコンのキーボードやアイロンなどを組み合わせた作品をバックに「アートを通じて環境問題を解決したい」と話す長坂さん=香川県土庄町、小豆島国際ホテル


 長坂さんは2009年から都内の路上で絵を描く活動をする中、17年に報道写真でガーナに世界中から大量の電子ごみが集まることを知り、同6月に現地を訪れた。そこで住民が電子ごみから金属を回収し、1日に500円にも満たない収入を得ている現状に衝撃を受け、廃材での作品づくりに取り組むようになった。

 拾い集めたパソコンのキーボードやゲーム機のコントローラー、携帯電話の電子基盤などをキャンバスに貼り付け、油絵の具でガーナで暮らす人の表情や様子を表現。現地の窮状を訴える作品は世界中から支持を受け、数千万円の価格が付くものも多い。売り上げは現地での学校建設や廃材を焼く際に出る有毒物質から体を守るガスマスクの購入に充てられており、現在は現地のリサイクル工場建設が目標となっている。

 「MAGO GALLERY SHODOSHIMA」と名付けられたギャラリーのオープニングセレモニーには、岡野土庄町長や大江小豆島町長ら地元関係者約60人が出席。長坂さんは、二酸化炭素の削減に向けてガーナにオリーブを植樹するための勉強で訪れた小豆島で、多くの刺激をもらったことがオープンのきっかけになったことを紹介した上で「新しい作品を小豆島でつくり、発信していく」とあいさつした。

 ギャラリー開設は東京、大阪、パリ、ニューヨークなどに続き世界で11番目。ガーナの廃材でつくった作品のほか、小豆島の海岸に流れ着いたガラス片や瀬戸物などを使った新作合わせて約50点が並んでいる。入場無料。開館は午前9時~午後9時。無休。問い合わせは小豆島国際ホテル〈0879-62-2111〉。

(四国新聞・2022/05/14掲載)



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