昨年9月から休館していた香川県仲多度郡琴平町の金刀比羅宮宝物館が、リニューアルオープン。約300年前の同宮周辺のにぎわいを詳細に描いた屏風(びょうぶ)絵や、伝統行事の蹴鞠(けまり)の際に使う装束など、これまで常設展示していなかった貴重な品を含め約60点が公開されている。


約300年前の琴平の様子を描いた「象頭山社頭並大祭行列図屏風」=香川県仲多度郡琴平町、金刀比羅宮宝物館

約300年前の琴平の様子を描いた「象頭山社頭並大祭行列図屏風」=香川県仲多度郡琴平町、金刀比羅宮宝物館


 宝物館は、館内設備の不具合のため長期休館していた。エアコンを新設するなどし、展示品を入れ替えて8月に再開した。
 秋の例大祭を描いた「象頭山社頭並大祭(ぞうずさんしゃとうならびにたいさい)行列図屏風」は縦約140センチ、横約350センチの屏風2枚一組の大作。本宮を目指して進む頭人(とうにん)たちをはじめ、うどん店や歌舞伎興行、金倉川でのみそぎなどが描かれ、当時の門前町の様子をうかがうことができる。
 蹴鞠関連では、専用の装束や革製の沓(くつ)、鞠などを陳列。同宮での歴史とともに、沓や鞠が職員の手作りであることなどが紹介されている。
 このほか、重要文化財に指定されている十一面観音立像、昭和期に奉納されたとみられる「人魚のミイラ」、掛け軸に1・5センチほどの大黒天が埋め尽くすように描かれた「大黒天像」なども展示。同宮の所蔵品の幅の広さを知ることができる。
 また宝物館横の収蔵庫では19日まで、海洋冒険家の堀江謙一さん(84)が1996年に単独太平洋横断をした際のソーラーパワーボートを特別展示。98年に同宮に奉納され、絵馬堂で展示していたが、老朽化した絵馬堂を今年3月に解体後は非公開となっていた。ボートはきれいに修復されている。
 宝物館の入場料は一般800円、高校・大学生400円、中学生以下無料。中学生以下には、リニューアル記念のカードを配布している。収蔵庫は入場無料。問い合わせは同宮〈0877-75-2121〉。

(四国新聞・2022/09/16掲載)


金刀比羅宮



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