瀬戸内海歴史民俗資料館(香川県高松市亀水町)の価値を建築の視点でひもとく企画展「れきみんで建築を楽しもう」が、同資料館で開かれている。設計図面の複製や建築模型など約40点を展示しており、建物の特徴だけでなく、外国の建物に影響を受けた建設の過程や設計時のエピソードも知ることができる。9月3日まで。


瀬戸内海歴史民俗資料館の建築をテーマにした企画展=高松市亀水町、同館

瀬戸内海歴史民俗資料館の建築をテーマにした企画展=高松市亀水町、同館


 企画展は同資料館の開館50周年事業の一環として、県建築士会高松支部青年部会と共同で開催。9月1、2日の午後5時から同8時までは外壁をライトアップする。
 同資料館はさぬき市出身の建築家、山本忠司氏(1923~98年)が設計を担当。建物は立地場所の山の起伏や敷地から出た石を活用したのが特徴で、日本建築学会賞や「DOCOMOMOJapan」の「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選ばれている。瀬戸内の景観と調和した建築として知られ、近年は国内外から見学者が訪れている。
 設計時のエピソードとしては、山本氏がインドに旅行した際、地元の土を使ったレンガで造られた建築を見て感動し、それまでの設計案を変更したという逸話を紹介。実現しなかった案の図面や模型写真も展示しており、山本氏が試行錯誤した姿が思い浮かぶ。
 建設過程のコーナーは写真を使って構成。同資料館の特徴である石積みの外壁は、地元の職人が現場にあった石を積み上げ、陰影のあるデザインに仕上げたことを解説している。また、館内の見どころ15カ所を巡るスタンプラリーもあり、楽しみながら学ぶことができる。同会は「日本が一番元気だった頃の建築。県人の手で造られた歴民の魅力をもっと地元の人に知ってほしい」としている。
 入場無料。8月19日、9月2日は同会による展示解説。問い合わせは 瀬戸内海歴史民俗資料館、電話087-881-4707。

(四国新聞・2023/08/16掲載)


瀬戸内海歴史民俗資料館



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