高松市美術館開館35周年記念「20世紀美術の冒険者たち―名作でたどる日本と西洋のアート」(同美術館・東京国立近代美術館主催、四国新聞社共催)が、30日から香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれる。20世紀に日本美術が西洋の影響を受けながら未知の表現を試み、近代美術から現代アートへと変貌していく軌跡を東京国立近代美術館所蔵の洋画・彫刻コレクションなどを通して紹介する。11月19日まで。


岸田劉生「麗子肖像(麗子五歳之像)」(1918年 油彩・キャンバス 東京国立近代美術館蔵)

岸田劉生「麗子肖像(麗子五歳之像)」(1918年 油彩・キャンバス 東京国立近代美術館蔵)


古賀春江「海」(1929年 油彩・キャンバス 東京国立近代美術館蔵)

古賀春江「海」(1929年 油彩・キャンバス 東京国立近代美術館蔵)


パウル・クレー「花ひらく木をめぐる抽象」(1925年 油彩・厚紙 東京国立近代美術館蔵)

パウル・クレー「花ひらく木をめぐる抽象」(1925年 油彩・厚紙 東京国立近代美術館蔵)


 国立美術館巡回展として開催。国立美術館の収蔵品を全国各地の公立美術館に巡回させる事業で、教科書に掲載されるような「名作」や著名な美術家の代表作品が一堂にそろう。今展では東京国立近代美術館と高松市美術館、巡回先の熊本県立美術館の収蔵品を交えた計78点を出品する。
 「美術」の概念は幕末・明治期に西洋から日本にもたらされ、昭和初期にはシュルレアリスムなど欧米の最新の動向が取り入れられるようになった。さまざまな前衛表現も生まれたが、右傾化が進んだ戦前・戦中期には、取り締まりの対象となった。戦後は、美術家が活動を模索する中で枠にとらわれない表現方法が生まれていったとされる。
 今回出品するのは、黒田清輝、萬鉄五郎、藤田嗣治、岡本太郎らをはじめ、オーギュスト・ロダン、パブロ・ピカソ、ワシリー・カンディンスキーら日本と西洋の美術家計70人の作品。日本の近代洋画の巨匠、岸田劉生が娘をモデルにした「麗子肖像(麗子五歳之像)」、発表当時「超現実主義絵画」と評された古賀春江の「海」、20世紀を代表するスイスの画家パウル・クレーによる「花ひらく木をめぐる抽象」なども並ぶ。
 担当学芸員は「日本のアートをリードしてきた東京国立近代美術館収蔵の作品を通じて、多彩な展開を遂げた20世紀美術を満喫してほしい」と話している。
 入場料は一般1200円ほか。高校生以下無料。関連イベントへの申し込みは市美術館のホームページから。問い合わせは同館、電話087-823-1711。


会期中のイベント

■記念講演会「あなたは誰?描かれた『モデル』から読み解く近現代美術」
 9月30日午後1時30分から/1階講堂/定員100人/無料/講師:東京国立近代美術館研究員・佐原しおり
■ギャラリートーク(2階展示室で午後2時から。要観覧券)
(1)学芸員/10月1日
(2)ボランティアcivi/会期中の日曜日(同1日を除く)
(3)ボランティアcivi「おしゃべり鑑賞会」/同9日、11月3日
■エントランス・ミニコンサート「Les vents de la musique moderne(近代音楽の風)」
 10月7日午後2時から/1階エントランスホール/無料/出演:見垣祐介(ファゴット)長岡佐和・小林遼香(ピアノ)三好結愛(フルート)青山夕夏(監修・フルート)
■ワークショップ(1階講堂、2階展示室で。要予約、要観覧券)
(1)「かく・みる冒険 筆談鑑賞」/10月14日午前10時30分からと午後1時30分から/小学生以上対象/定員各回先着10人程度
(2)「みるって何だろう?―見えない・見えにくい人と共に行う美術鑑賞会」/同15日午前10時から/中学生以上対象/定員先着15人程度
■東京国立近代美術館の対話鑑賞プログラム(要予約)
(1)ギャラリートーク/11月8日午前10時からと午後1時30分から/2階展示室/定員各回先着10人/要観覧券/進行役:同館研究員・細谷美宇
(2)オンライン鑑賞会/同11日午前11時から/定員先着12人/無料/進行役:同館ガイドスタッフ
■記念パフォーマンス(11月19日、要観覧券。演奏:音楽家・野村誠)
(1)午前11時から/市塩江美術館
(2)午後5時から/市美術館2階展示室/定員抽選30人(要予約)

(四国新聞・2023/09/21掲載)


展覧会・イベント詳細(高松市美術館)



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