香川県多度津町葛原の西野金陵多度津工場で14日、今年の新酒の「初しぼりの儀」が行われた。搾りたての新酒を神前に供え、同社役員らが今後の作業の安全と上質な仕上がりを祈願した。


神前に供える新酒を注ぐ酒井製造課長(右)=多度津町葛原、西野金陵多度津工場

神前に供える新酒を注ぐ酒井製造課長(右)=多度津町葛原、西野金陵多度津工場


 今年も三豊市で収穫した酒米オオセトを使い、10月22日に仕込みを始めた。今年は猛暑の影響で酒米の質の低下が懸念されたため、麹(こうじ)の作り方など発酵過程を工夫。初しぼりの酒は特徴であるフルーティーな香りに加え、とろっとした口当たりでサツマイモを使ったスイーツのような素朴な甘みが感じられる味わいに仕上がった。「金陵 初しぼり」(720ミリリットル入り)として25日から1本1496円で約3万本を販売する。
 同社によると、新型コロナウイルスの影響による落ち込みからの回復基調に加え、輸出向けを中心に純米大吟醸といった高価格帯商品の需要が高まっているという。杜氏(とうじ)を務める酒井史朗製造課長(54)は「国内市場も『ちょっといいものを少しだけ』といった需要に変化しつつある。数量ベースでは前年並みの計画だが、いいものが手厚く出荷できるように努めたい」と話した。
 初しぼりの販売開始に合わせ、25、26の両日には琴平町の金陵の郷で新酒や地元グルメが味わえるイベント「祝宴」を開く。時間は両日とも午前9時半~午後3時半。問い合わせは金陵の郷〈0877-73-4133〉。

(四国新聞・2023/11/15掲載)



関連情報