金刀比羅宮(琴平町)の表参道から道をそれ、旧金毘羅大芝居(金丸座)に向かって歩いて行くと、左手に大きな建物が見える。象頭山の深い緑を背景に、荘厳なたたずまいを見せる町公会堂だ。300人ほどを収容できるホールを持ちながら、その存在はあまり知られていない。門前町の象徴ともいえる公会堂の魅力に迫った。


堂々としたたたずまいの琴平町公会堂。向かって右

堂々としたたたずまいの琴平町公会堂。向かって右手が玄関棟、左手にはホールがある


 公会堂は1934(昭和9)年に建設され、国の登録有形文化財になっている。入り母屋造りこけらぶき風の大屋根に玄関棟、和風棟の屋根が連なる。

 中には約368平方メートルの大ホールがある。ステージもあり、間口は10メートル以上、高さも5・5メートルと広々としている。天井は格天井(ごうてんじょう)で、レトロな照明器具やシャンデリアが門前町らしい高貴な雰囲気を醸し出している。

 天井に細工を施した廊下も見もの。窓からは庭が見え、椅子に座ってのんびりしたくなる。


廊下から眺める庭が美しい

廊下から眺める庭が美しい


 庭には山桜などが植えられ、春は地元の人に人気のお花見スポットになるという。こんぴら最古といわれる灯籠や与謝蕪村が琴平を訪れた際の句碑もある。

 春の四国こんぴら歌舞伎大芝居の際には、お茶子さんの控室やボランティアの食事場所として利用され、にぎわいを見せるそう。そのほかの時期は、貸し館としての利用が中心。近年では学会の会議場として使用されたり、昨年には現代サーカスの公演が行われたりと少しずつだが活用が広がっている。


広々とした大ホール。日頃はイベントの会場や部活

広々とした大ホール。日頃はイベントの会場や部活動の練習などにも使われているという=いずれも琴平町


 町では、町内に宿泊する観光客ら向けに夜型観光の拠点としても公会堂の活用を考えているという。建物の立派さに公会堂を旧金毘羅大芝居と勘違いする観光客もいるといい、伝統ある町にふさわしい風格の建物をそのままにしておくのは、もったいないの一言。公会堂が広く知られ、みんなに愛される場所になってほしい。

 通常一般公開はしていないが、希望すれば見学が可能。問い合わせは同町観光商工課〈0877(75)6710〉。

(四国新聞・2019/07/23掲載)

琴平町公会堂


所在地 香川県仲多度郡琴平町975-1
TEL 0877-75-6710


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