市街地や観光地に置かれた電動アシスト付き自転車などを共同利用する「シェアサイクル」のサービスが高松市中心部で広がりを見せている。時間を問わず手軽に利用できるのが利点で、昨夏以降、民間事業者が相次いで参入。瀬戸内国際芸術祭の開幕を目前に控え、各社は観光客らの「ちょい乗り」需要の拡大に期待している。


高松市中心部で広がっている電動アシスト付き自転車やキックボードのシェアサービス。「ちょい乗り」需要拡大への期待が高まっている


 シェアサイクルは、スマートフォンに専用アプリを入れて利用登録しておくと、エリア内に点在するポート(駐輪場)に置かれた車両を使えるサービス。借りた場所に返却する必要があるレンタサイクルと違い、24時間好きな駐輪場で返却でき、解錠や支払いなどの手続きはスマホ一つで済ませられる。
 穴吹ハウジングサービス(高松市)は昨年8月、電動キックボードのシェアを市中心部で始めた。国内大手・Luup(ループ、東京)のサービスを活用。登録者は順調に増え、当初70台だった車両は、昨秋以降導入した電動アシスト付き自転車も含めて約220台まで増やした。
 約20カ所でスタートした駐輪場も約80カ所まで拡大。観光客の2次交通としての利用に加え、市民の普段使いも目立ち、担当者は「毎日のように利用する人もいるなど、リピーターが着実に増えている」と手応えを口にする。
 昨年12月に市中心部でサービスを開始したのは「さぬきシェアサイクル」。NTTドコモの子会社でレンタサイクル運営の「ドコモ・バイクシェア」(東京)と地元の「Nambaホールディングス」(同市)が運営する。サービス開始から間もないが、先月の利用者数は開始当初の3倍に増加。担当者は「サイクリング向きの季節を迎え、今後ますます利用は増える」とする。


「Nambaホールディングス」などが展開するサービスの電動アシスト付き自転車


 あなぶきアリーナ香川の開館、瀬戸芸や大阪・関西万博の開催はインバウンド(訪日客)や観光客の増加につながり追い風となる。「新たな移動の足として定着するにはポートの充実が欠かせない」と両社は声をそろえる。利便性の一層の向上に向け、駐輪場や車両の増加に取り組む構えだ。
 利用料金は、穴吹ハウジングサービスが基本料金50円と時間料金1分当たり15円の合算。さぬきシェアサイクルは30分当たり220円で、1日パス(1980円)もある。

(四国新聞・2025/04/11掲載)


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