船に乗ってゆったりとお堀を巡り、お殿様、お姫様気分に―。玉藻公園(香川県高松市玉藻町)の「城舟体験」は、高松城の天守台を間近に眺めながらお堀にすむタイにエサやりをすることもでき、海城ならではの船遊びが楽しめる。まだまだ暑さの厳しい日が続くが、水の上を滑る和船で涼やかな気分になろう。

 和船は2013年に就航。園内北西部の水門付近を出発地点に30分ごとに運航され、15~20分かけて内堀を巡る。


石垣を間近に遊覧する和船。石積みの様子もよく観察できる


 船頭の児玉祐一郎さん(69)の案内でまずは乗船。乗ったときからすでに魚が船の周りに寄ってきた。クロダイ(チヌ)が多いが、中には青く光る斑点が美しいマダイも。みんなエサをもらえると知っていてか、遊覧中はずっと着いてくる。エサをやっているのはこちらなのに、何だかおもてなしされているような気分だ。


エサをもらおうと船にくっついて泳ぐマダイやクロダイ=いずれも高松市玉藻町、玉藻公園


 船は鞘橋(さやばし)を右手に、天守台に近づいていく。天守台の石垣は12年に修理が完了した。原則従来の石を元の場所に戻す方法で、当初の高さ約13メートルまで積み上げられた。石垣を間近にしたこの迫力ある景色は、船からだけしか見られない。当初石垣を作った人たちと、修理に携わった人たちの努力に感謝せずにはいられなかった。


船の上からの眺め。左手に天守台、向こうにはサンポート高松のシンボルタワーやJRホテルクレメント高松が見える


 また、鞘橋の間からは琴電高松築港駅を発着する電車の姿も見られる。いつも駅から眺めていたお堀から電車を見るとは、ちょっと不思議な気分だ。

 お堀の中を優雅に滑る和船は、来園者の注目の的。タイが船に着いていく様子も、堀端から眺めるとこれまた面白い。

 夫と息子と訪れた東京都の杉岡真里子さん(47)は「タイの群れがすごい。お姫様のような優雅な気持ちになれた」と笑顔で話した。乗船する際には、すげがさや法被も貸してくれる。記念撮影にもぴったりだ。

 船の運航は3~11月。大人500円、子ども300円(入園料が別途必要)。問い合わせは同園管理事務所〈087(851)1521〉。

(四国新聞・2019/09/03掲載)


玉藻公園 公式HP



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