猛暑がようやく過ぎ去ったと思えば一気に秋が深まり、もうすぐ紅葉シーズンを迎える。夏の暑さが長引いた影響で見頃は不透明な部分もあるが、最盛期には各スポットを訪れて秋を堪能したい。県内の名所を紹介する。お出かけ前には最新情報や天気予報の確認をお忘れなく。

大窪寺(さぬき市多和)

 徳島との県境近くの女体山(標高776メートル)の麓に位置し、四国遍路の長旅を終えたお遍路さんが笠(かさ)や金剛杖(こんごうづえ)を納める四国霊場の結願寺。境内周辺にモミジやイチョウなどが植えられており、周囲の常緑樹とのコントラストが楽しめる。例年通りならイチョウは10月末ごろ、モミジは11月上旬に最盛期を迎えるが、今夏の暑さの影響で見頃は不透明。やや遅れる可能性もある。
 【メモ】高松自動車道志度ICから車で約40分。JR志度駅などから市コミュニティバスも運行。問い合わせは市観光協会〈087-894-1601〉。


モミジとイチョウの競演がお遍路さんらを楽しませる大窪寺の紅葉=2024年11月15日、香川県さぬき市多和

モミジとイチョウの競演がお遍路さんらを楽しませる大窪寺の紅葉=2024年11月15日、香川県さぬき市多和


五名ダム周辺(東かがわ市五名)

 湊川上流の自然豊かなエリア。イチョウやモミジなどは例年、11月上旬から色づき始め、中旬に見頃を迎える。今夏の猛暑の影響で最盛期がずれ込む可能性もある。ダムから車で5分ほどの位置には産直カフェ「五名ふるさとの家」(営業日は週末の金曜~月曜)があり、穏やかな雰囲気の中で飲食が楽しめるほか、新鮮な旬の野菜なども購入できる。
 【メモ】高松自動車道白鳥大内ICから車で約30分。問い合わせは市地域創生課〈0879-26-1276〉。

大滝山(高松市塩江町)

 標高946メートルの高峰にケヤキやカエデなどの広葉樹が群生し、山肌を赤や黄色に染める。例年の見頃は11月中旬以降で、自家用車で楽しむ際は椛川ダムの周遊コースがお薦めという。同8日には、奥の湯公園で「しおのえ竹あかり」を開く。公園内を流れる川のほとりに1500本の竹明かりが並び、幻想的な雰囲気を演出。ギターの生演奏もあり、ゆったりと秋の夜長を楽しめる。時間は午後5時半~同9時。小雨決行。
 【メモ】市中心部から国道193号、県道美馬塩江線を車で約1時間。問い合わせは塩江温泉観光協会〈087-893-0148〉。

岩部八幡神社(高松市塩江町)

 鳥居の脇にどっしりと根を張る樹齢約700年、樹高約33メートルの2本のイチョウ。県の天然記念物に指定されており、毎年11月中旬に見頃を迎える。陽光を受け、鮮やかに色づいた葉が黄金色に照り映えるさまは圧巻。シーズン終盤には、落ち葉が辺り一面を埋め尽くし、黄色い“じゅうたん”をつくる。同1~30日は、抹茶やぜんざいなどのお接待(有料)があるほか、紅葉の時季限定の御朱印を授与する。
 【メモ】市中心部から国道193号を車で約50分。岩部バス停から徒歩1分。神社近くに無料駐車場がある。問い合わせは岩部八幡神社〈087-893-0159〉。

寒霞渓(小豆島町)

 日本三大渓谷美の一つに数えられる景勝地。長い年月をかけた地殻変動や風雨による浸食でつくられた奇岩や崖地に、約50種類の紅葉植物が常緑樹と組み合わさるように自生している。迫力ある岩肌とその影が、葉の色の鮮やかさをさらに際立たせる。見頃は11月15日ごろから同月末ごろの見通し。登山道を散策しながら、またロープウエーの車中、周辺の展望台からと、さまざまな角度で紅葉が楽しめる。同3日には山頂の展望デッキで抹茶と菓子を振る舞う「もみじ茶会」が開かれる。
 【メモ】土庄港、池田港から山頂までそれぞれ車で約40分。問い合わせは寒霞渓ロープウェイ〈0879-82-2171〉。


奇岩、崖地に自生した紅葉植物と常緑樹とのコントラストが美しい寒霞渓=2024年11月24日、香川県小豆郡小豆島町

奇岩、崖地に自生した紅葉植物と常緑樹とのコントラストが美しい寒霞渓=2024年11月24日、香川県小豆郡小豆島町


栗林公園(高松市栗林町)

 カエデが頭上に折り重なるように植えられた南湖沿いの「楓岸(ふうがん)」と南湖に浮かぶ「楓嶼(ふうしょ)」が見どころ。赤や黄色に色づいた木々が湖面に映し出されるさまは圧巻で、由緒ある日本庭園でみやびな秋を満喫できる。例年の見頃は11月中旬以降で、今年は同21~30日にライトアップを行う。期間中は入園時間を延長し、讃岐提灯(ちょうちん)の貸し出しや、和船の夜間運航を予定している。土日、祝日は三味線や琴のステージも楽しめる。
 【メモ】JR栗林公園北口駅から徒歩3分ほど。ライトアップ期間中の土日のみ、臨時無料駐車場を設ける予定。問い合わせは栗林公園観光事務所〈087-833-7411〉。


赤や黄色に色づいた木々がライトアップで湖面に映し出され、みやびな秋を満喫できる栗林公園=2024年11月22日、香川県高松市栗林町

赤や黄色に色づいた木々がライトアップで湖面に映し出され、みやびな秋を満喫できる栗林公園=2024年11月22日、香川県高松市栗林町


白峯寺(坂出市青海町)

 五色台の西端、白峰の中腹に位置する四国霊場81番札所。境内は標高の高低差があり、緑、黄、赤色と徐々に色づく木々のコントラストを楽しめる。崇徳上皇をまつる頓証寺殿(とんしょうじでん)横の大イチョウ、本堂や鐘楼堂などの歴史的建造物と紅葉の“共演”も人気だ。近くの青海神社と結ぶ「西行法師の道」や、82番札所の根香寺(高松市)までの遍路道からの眺望もお薦め。例年の見頃は11月中旬~12月上旬。
 【メモ】高松自動車道坂出ICから車で約30分。駐車場約250台。問い合わせは市観光協会〈0877-35-8428〉。

金刀比羅宮(琴平町)

 金刀比羅宮が鎮座する象頭山には、広大な自然の森が広がる。特に裏参道は紅葉の名所として知られており、散策にぴったり。また石段がある表参道では、高橋由一館の近くで大きなイチョウの木を楽しむことができるほか、本宮のさらに上にある白峰神社周辺も紅葉が美しい。見頃は11月中旬から12月初旬の見込み。11月10日には恒例の「紅葉祭」があり、本宮などで神事が営まれる。
 【メモ】JR、琴電の両琴平駅から表参道まで徒歩約15分。車では高松自動車道善通寺ICから約15分。問い合わせは同宮社務所〈0877-75-2121〉。

三霞洞渓谷(まんのう町)

 讃岐十景に選ばれている景勝地。国道438号を徳島方面に南下し、県境の三頭トンネルに近づくと、鮮やかに色づいたケヤキやモミジが目に入る。清らかな川の流れ、豊かな渓谷美も楽しめる。紅葉のピークは11月中旬の見通し。近くの竜王山や大川山でも、紅葉狩りを満喫できる。道の駅ことなみには、平賀源内が効能などを紹介したと伝えられる温泉がある。
 【メモ】高松自動車道善通寺ICから車で約55分、JR琴平駅から車で約45分。問い合わせは道の駅ことなみ内のエピアみかど〈0877-56-0015〉。

ゆうゆうロード(善通寺市南町)

 総本山善通寺から南に延びる市道大門通り線「ゆうゆうロード」(約500メートル)は、市街地の紅葉スポット。道路両脇には約80本のイチョウが植えられ、通りを黄色く彩る。れんが造りの旧陸軍倉庫がある一角では、赤れんがとイチョウのコントラストが楽しめる。イチョウ並木の背景には五重塔が見え、写真スポットとしても知られている。見頃は11月中旬から下旬にかけて。
 【メモ】高松自動車道善通寺ICから車で約10分。問い合わせは市観光協会〈0877-63-6315〉。

雲辺寺山周辺(観音寺市大野原町・徳島県三好市)

 四国霊場66番札所・雲辺寺のある雲辺寺山(標高927メートル)の山頂付近は、県内で最も早く見頃を迎える紅葉スポット。約400本のモミジが色づく。定番となりつつある「紅葉のライトアップ」は10月31日~11月3日、11月7~9日の計7日間で、昨年に比べ期間を5日後ろにずらした。納経所では季節限定で「紅葉の御朱印」の頒布を行っている。雲辺寺ロープウェイはライトアップ期間中、最終便を上りが午後7時20分発、下りは同8時発に延長して20分間隔で運行する。
 【メモ】雲辺寺ロープウェイ山麓駅へは高松自動車道大野原ICから車で約15分。問い合わせは雲辺寺ロープウェイ〈0875-54-4968〉。

法泉寺(観音寺市大野原町)

 かつて一本の木が3色に染まる「三色もみじ」がシンボルだった古刹(こさつ)。樹齢100年超を含む約20本のモミジやイチョウが山間に映える。近年、紅葉の色づきはずれ込む傾向にあり、恒例の「もみじ祭り」(同実行委員会主催)は昨年より6日遅い11月23日に開催。境内に茶席が設けられ、琴の演奏も。名物の「もみじ祭りまんじゅう」の販売があるほか、地元産野菜などが市価より安く提供される。
 【メモ】高松自動車道大野原ICから車で約20分。JR観音寺駅からのりあいバス五郷高室線に乗り、運転手に「法泉寺」と告げる。問い合わせは同寺〈0875-54-4178〉。

(四国新聞・2025/10/28掲載)


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