香川県仲多度郡琴平町の金刀比羅宮表参道沿いに、江戸前期創業の元旅館「敷島館」のたたずまいを再現した宿泊施設がオープンした。観光客の減少などに伴い同旅館が灯を消して約20年。往時の気品漂う姿が門前の古き良き町並みにマッチし、新たな魅力を生み出している。関係者は入り込み客数がピーク時から半減している琴平の再興の起爆剤として期待を寄せている。


グランドオープンした「ことひら温泉 御宿 敷島館」=香川県仲多度郡琴平町

グランドオープンした「ことひら温泉 御宿 敷島館」=香川県仲多度郡琴平町


 旧敷島館は寛永年間(1624~44年)の創業。約100年前の明治後期に建造された本館は、木造3階建ての入り母屋造りで、玄関屋根は銅板ぶきなどの凝った細工が施されているなど、歴史的景観に寄与しているとして、国の登録有形文化財にもなった。

 かつて参拝客らでにぎわった旧敷島館は、瀬戸大橋の架橋効果が薄れた影響などで2002年に廃業したが、観光の再生につなげたい町の方針を受け、土地と建物を町土地開発公社が取得した。その後、全国でホテル事業などを展開する共立メンテナンス(東京)に売却。同社は再建に当たって周辺の景観を壊さないよう町と協議を重ね、本館に使われていた古材を使い、正面の意匠に当時の面影を残しつつ新築した。

 オープンしたのは「ことひら温泉 御宿 敷島館」で、鉄筋コンクリート7階建て、延べ床面積約6270平方メートル。客室は100室。部屋は趣の異なる7種類をそろえ、最上階には露天風呂付きの部屋も用意した。大浴場や4種類の貸し切り風呂のほか、参拝客も利用できる足湯も併設している。

 町観光協会の西村好平会長は「周辺には競合する宿泊施設も多いが、一緒に琴平を盛り上げたい。町内での宿泊客数が減少する中、新たな観光拠点の一つとして起爆剤になってくれれば」と話している。

 県の観光客動態調査によると、琴平の入り込み客数は、瀬戸大橋が開通した1988年の520万人をピークに減少傾向。近年はピーク時のほぼ半数の200万人台で推移し、2018年は226万人だった。

(四国新聞・2019/09/23掲載)


ことひら温泉 御宿 敷島館

ことひら温泉 御宿 敷島館


所在地 香川県仲多度郡琴平町川西713-1
TEL 0877-58-8005


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