香川県善通寺市吉原町の出釈迦寺(岡田幸恵住職)奥の院にある鐘楼(しょうろう)が、じわりと人気を集めている。標高約350メートル、瀬戸内海や讃岐平野を見渡せるロケーションから「天空の鐘」と呼ばれ、訪れた人たちの心をつかんでいる。


天空の鐘を突き手を合わせる参拝者=香川県善通寺市吉原町

天空の鐘を突き手を合わせる参拝者=香川県善通寺市吉原町


 「天空の鳥居」(高屋神社、観音寺市)の人気が高まっていた2020年ごろ、当時の善通寺市地域おこし協力隊員・日高慎一郎さんが名付けた。交流サイト(SNS)などで徐々に広まり、「天空のブランコ」(観音寺市)と合わせて天空シリーズと呼ぶ人もいる。
 天空の鐘があるのは我拝師山中腹で、天空シリーズの中では最も標高が低いが、体験の困難さは最上級。麓にある同寺からは、急坂を40分ほど歩いて登る必要があるからだ。
 一方で、この急坂と絶景に心引かれる人も多い。丸亀市の岩田唯さん(39)は、3年ほど前から休日に訪れるようになった。「非現実的な場所。気持ちが疲れている時に来ると、心が洗われる」。おいの尾松朔弥さん(10)と一緒に鐘の音を空に響かせ、静かに手を合わせた。
 昔からの常連組の姿も。多度津町の喜田克歳さん(77)はほぼ毎日参拝しており、「健康にいいし眺めも最高」と笑顔。善通寺市内に連なる五つの山「五岳山」の縦走コースの途中にあるため、登山者も鐘を突いたり写真を撮ったりして楽しんでいる。
 「去年から夜間のライトアップを始め、気に留めて見に来る人も増えてきた」と岡田住職。同寺には「幸福の鐘」もあり、両方つくと天空からの幸せが得られるという。

(四国新聞・2026/03/30掲載)



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