直島ホール 直島町 先人の知恵から新しい価値生む 芸術、スポーツ幅広く 瀬戸芸でツアーも
伝統的な町並みが続く直島の本村地区は戦国時代の城下町で、南北に細長く、東西に行き止まりがたくさんあるのが特徴だ。その本村地区周辺で、建築家の三分一博志さんが集落の風や水の流れを研究し、直島ホールなど一連の建築シリーズを作り上げている。
直島ホールは町役場のすぐ南側。ヒノキの板葺(ぶ)きの屋根がひときわ存在感を放っている。中に入ってみると、外よりも少しひんやりとした空気を感じたが、ホール内には冷暖房設備はない。ホール棟は屋根の風穴を抜ける力を利用し、集会所棟は井戸水が天井を巡回する仕組みだ。本村の集落にはあちこちに井戸があり、先人たちの知恵を生かし、井戸の新しい価値を見いだそうと試みている。
成人式やシンポジウム、コンサートなどのほか、バドミントンやドッジボールといったスポーツなど幅広く使えるのも特徴。舞台は女性だけで構成する人形浄瑠璃一座「直島女文楽」の公演でも使われた。
直島ホールは2017年に日本建築学会賞作品賞を受賞。町によると、見学者も絶えないという。
瀬戸芸の会期中には、三分一さんが築200年の旧家を改修した「The Naoshima Plan 2019『水』」に立ち寄るのもおすすめ。
本村の家屋は南北に風が通り抜ける構造になっており、水上のデッキでくつろげばそのことを実感できる。直島ホールと同じように、井戸もある。自然に寄り添い生きてきた先人たちに思いをはせつつ、町歩きの疲れを癒やそう。
直島文化村と福武財団が開催する「直島建築ツアー」では、通常は非公開の個人住宅「またべえ」も見学できる。またべえは本村地区の古民家改修のお手本にしてもらおうと、三分一さんが手掛けた。涼しげな庭が美しい。
ツアーは7月27日、8月3、17日のほか秋会期にも実施する。問い合わせは直島文化村〈087(892)3246〉
(四国新聞・2019/05/28掲載)
直島ホール
所在地 | 香川県香川郡直島町696-1 |
---|---|
TEL | 087-892-2882 |
ツアーの開催日 | 7/27・8/3・8/17 |
ツアーの問い合わせ | 087-892-3240(直島文化村) |