「天空の鳥居」として人気が急上昇している高屋神社本宮(観音寺市高屋町)への参道となる林道の交通渋滞や事故の抑止対策として、観音寺市はゴールデンウイーク(GW)にマイカーの乗り入れを禁止し、有料のシャトルバスを運行する実証実験を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大で暗礁に乗り上げている。別に登山道が整備されているものの、観光客が集中すると事故を誘発しかねないとして、観音寺市はGWに「入山禁止」とする措置も視野に入れているもようだ。


「天空の鳥居」として人気の高屋神社本宮。シャトルバスを運行する実証実験の計画が暗礁に乗り上げている=観音寺市高屋町


 市が3月上旬に決定した計画によると、シャトルバス運行の実証実験を行うのは29日から5月10日までの12日間。琴弾公園内にある有明グラウンド(観音寺市有明町)に臨時駐車場を設け、有明グラウンドを発着点に午前10時から午後7時まで30分間隔で運行する。運賃は往復で大人千円、小学生500円、小学生未満無料。

 しかし、発表後に新型コロナウイルスの感染が急拡大。政府が緊急事態宣言を出すに至り、観音寺市は密閉、密集、密接の「3密」を避ける観点から、不特定多数の人が乗り合わせることになるシャトルバスを運行するのは好ましくないとの判断に傾いている。

 標高404メートルの稲積山頂上にある高屋神社本宮へは下宮からの登山道もあり、健脚者なら45分程度で登ることができる。マイカーの乗り入れを禁止し、シャトルバスの運行も中止するとなると、登山道しか本宮へのアクセス方法がなくなる。

 ただ、下宮の駐車場は数十台分しかなく、GWに観光客が殺到した場合、受け皿として十分とは言えない。登山道も本宮直下に約270段ある石段が不安定で落石や将棋倒しにつながりかねないほか、急斜面の山道で擦れ違うのに狭い箇所もあり、登山者が増えると事故のリスクが高まる。また、大勢が訪れると密集、密接にもなりやすい。

 このため、市は入山禁止も有力な選択肢として詰めの検討を進めており、近く結論を出す方針だ。

(四国新聞・2020/04/15掲載)


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