木桶(きおけ)仕込みにこだわる小豆島町安田の老舗醤油(しょうゆ)メーカー・ヤマロク醤油が、自社で作った木桶で醸造した醤油を3年半ぶりに売り出した。木桶の“寿命”は100~150年とされる中、ヤマロク醤油は「新桶で醸造する醤油は1回限り。初搾りならではの風味を味わってみて」と出来栄えに自信を見せている。


新桶用に新しく建てた蔵で「新桶初搾り」をアピールする山本さん=小豆島町安田、ヤマロク醤油


 ヤマロク醤油は発酵食品の伝統的な製造に欠かせない木桶を次世代に残そうと、2012年から業界の垣根を越えて「木桶職人復活プロジェクト」を推進。毎年1月に全国各地の醤油や酒、みそなどの蔵元らと協力して、高さ2メートル、直径1・85メートル、容量3600リットルの大きな木桶を組み上げている。

 プロジェクトでこれまで作った木桶39本のうち、ヤマロク醤油が仕込み用に使っているのは21本。今回は、昨年4月に建てた新桶用の蔵で仕込んだうちの1本から搾ったものを「新桶初搾り」の商品名で売り出した。

 「新桶初搾り」の名で販売するのは2016年9月以来。今回は新しく建てた蔵から初めての商品化とあって、ヤマロク醤油5代目社長の山本康夫さん(47)は「まさに初めて尽くし。記憶に残る一品になる」と感慨深そう。熟成期間は1年とこれまでより短めで、味わいについては「色は薄口だが、味は濃口。塩分はそれほど高くなく、フルーティーさも感じられる。白身の魚に合うのでは」と評している。

 近年は木桶仕込みの醤油の海外での評価が高まり、高級ワインになぞらえることも多く、今回の「新桶初搾り」は白ワインの位置付けと言う。

 今回は、500ミリリットル入りを2400本、100ミリリットル入りを1238本と数量限定で販売。500ミリリットル入りにはシリアルナンバーを付けて限定品をアピールしている。原則として卸売りは行わず、店頭での販売、もしくはメールでの注文に応じている。ヤマロク醤油定番商品の「鶴醤(つるびしお)」「菊醤(きくびしお)」とセットにした商品もある。問い合わせはヤマロク醤油、電話0879-82-0666。

(四国新聞・2020/04/23掲載)


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