明治期に欧米から伝わり、国内に普及していった「近代スポーツ」と作家との関わりを紹介したコレクション展が、高松市昭和町の菊池寛記念館で開かれている。菊池寛や芥川龍之介ら文壇の大御所が野球や卓球に興じる様子を収めた写真をはじめ、スポーツについて記した著書や雑誌など約40点を展示。文芸作品とは異なる角度から作家の横顔に迫ることができる。30日まで。


近代スポーツと作家たちとの関わりを紹介したコレクション展=高松市昭和町、菊池寛記念館


 市出身の文豪・菊池寛は、幼い頃から水泳を習い、高校時代には野球に熱中するなどスポーツ愛好家として知られる。授業を受けずにテニスをしていたことが原因で東京師範学校を除籍処分になるなどしたスポーツにまつわるエピソードのほか、卓球や野球観戦を楽しむ姿を捉えた写真も紹介している。

 野球を題材とした俳句を数多く詠んだ俳人・正岡子規は、ペンネームを自分の幼名「升(のぼる)」にかけて「野球(のぼーる)」と表記したほど無類の野球好き。現在も使われている「打者」「走者」「四球」などの用語を訳したことでも知られ、野球のルールなどを丹念に説明した随筆も書いている。

 幼少期に病弱だった芥川龍之介が、水泳や柔道を習ったことで体が丈夫になったことや、夏目漱石が小説「吾輩は猫である」の中で、当時広まりつつあった野球をさりげなくストーリーに登場させていることなども取り上げている。

 菊池寛記念館は「作家たちがいかにスポーツを受け入れ、楽しんでいたかを展示を通じて感じ取ってもらえたら」としている。

(四国新聞・2020/08/07掲載)

近代スポーツと文士


開催期間 2020/6/9(火曜日)~2020/8/30(日曜日)
所在地
菊池寛記念館
香川県高松市昭和町一丁目2番20号サンクリスタル高松3階
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(8/10は開館、8/11は休館)
TEL 087-861-4502


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