近代化の歩み感じて―。香川県仲多度郡多度津町の住民有志らでつくる「たどつまち歩きの会」は、町の歴史を案内する「ブラタドツ今昔マップ」を作製した。JR四国の前身の讃岐鉄道や、四国電力の前身とされる四国水力電気の本社があった場所などを地図上に示し、往時の写真を入れて紹介。香川の近代化をリードした町の魅力が一目で分かる。


たどつまち歩きの会が作製したマップ


  マップは、特別展「近代香川を生み出したまち 多度津ものがたり」が高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開催されるのに合わせ、歴史ファンらに同展を鑑賞後、町まで足を運ぶきっかけになればと企画した。

 多度津は、江戸時代から金毘羅参りの海の玄関口、北前船の寄港地として繁栄し、明治時代には廻船(かいせん)業で財を成した豪商が四国の産業近代化に貢献。鉄道、電力など四国のインフラ整備の原点とされ、香川初となる多度津測候所や民間金融の多度津銀行、四国を統括した旧多度津郵便局、水力発電の補充として建設された堀江火力発電所などが明治~大正期にそれぞれ整備された。

 マップは、簡略化された町中心部の地図と共に、現存するスポットを星印で表示。現在見ることのできない施設などは往時の写真と説明文を入れて紹介しており、歴史の移ろいに思いを巡らせられるように工夫している。B4判カラー1枚で、600枚作製。町政策観光課などで無料配布している。


マップをPRする中津会長


 たどつまち歩きの会は2010年に結成、年間を通じて町歩きイベントを主催するなどしている。中津栄一会長(70)は「歴史ファンらのために作ったが、マップを片手に改めて町内を歩けば、町民も多度津の誇りを感じてもらえるのでは」と話している。

(四国新聞・2021/09/18掲載)


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