大衆娯楽の“殿堂”として親しまれていた映画館をテーマにした常設展「私の町にも映画館があった」が、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれている。高松市に県内初の映画館が誕生した明治末期から、県内最多の100館以上が存在した1960年代にスポットを当て、当時の写真や地図、資料などを用いて香川の映画館がたどった歴史を紹介している。12月19日まで。



映写機や地図など貴重な資料が並ぶ常設展=香川県高松市玉藻町、香川県立ミュージアム


 県内に映画館が初めて誕生したのは1911(明治44)年。高松市片原町の古天神(華下天満宮)境内にあった芝居小屋「肥梅閣(ひばいかく)」を改築した常設映写場「世界館」が開館した。

 翌年の大正元年には高松市東瓦町に「緑館」がオープン。これを皮切りに、芝居小屋から映画館に改築する動きが活発となり、高松や丸亀、坂出、善通寺、琴平など県内各地に広がった。

 45(昭和20)年の高松空襲で高松市内中心部の映画館は姿を消すが、戦後復興とともに映画館が約10館に増え、郡部にもその動きが波及し、県内ほぼ全ての市町村に映画館が誕生。伊吹島や粟島などの島しょ部にも造られた。60(昭和35)年のピーク時には県内に118館が存在していた。

 常設展では、香川県立ミュージアムや個人が所蔵する文献や資料など計71点を展示。「緑館」の外観写真を記録した「香川・徳島両県官民肖像録」(1914年)をはじめ、高松市や丸亀市などにあった映画館が記された昭和初期の地図、99年に惜しまれながら閉館した高松市の「ライオンカン」で最後まで使われた映写機など、貴重で興味深い展示品が並ぶ。また、高松や坂出、観音寺などに現存する映画館跡の建物6棟をスライドで紹介している。

 香川県立ミュージアムの高木理光専門職員は「懐かしい思い出に浸ったり、新たな発見につながったりと多様な世代の人たちも楽しめる内容になっている。かつて身近にあった映画館の歴史文化を感じ取ってほしい」と話している。

(四国新聞・2021/11/12掲載)


常設展「私の町にも映画館があった」

私の町にも映画館があった


会場
香川県立ミュージアム 常設展示室4・5
〒760-0030 香川県高松市玉藻町5-5
会期 2021/10/29 (金曜日)~12/19(日曜日)
観覧料 一般410円ほか
開館時間 9:00~17:00(入館は30分前まで)
休館日 月曜日
TEL 087-822-0002


関連情報