香川の素材を用いた焼き物づくりで香川県陶芸界をけん引している伊藤信夫さん(70)=香川県高松市高松町=の古希を記念する個展が、11日から17日まで同市内町の高松三越美術画廊で開かれる。個展を前に9月下旬、伊藤さんが同市中野町の四国新聞社を訪れ、「作陶50年の集大成でありスタート地点。さまざまな表情をみせる青と白の作品を堪能して」と来場を呼びかけた。


「作陶50年の集大成を堪能してほしい」と語る伊藤さん=高松市中野町、四国新聞社


 伊藤さんは2002年に県人初の日本工芸会陶芸部会正会員に認定され、日本陶芸展をはじめとした多くの公募展で活躍している。陶芸向きの土が少ない香川で独自の道を追求し、釉薬(ゆうやく)や化粧の素材にさぬき市で取れる凝灰岩の風化物を使用。瀬戸内海を映したような色の青瓷(せいじ)や、白が際立つ泥彩の作品を一貫して制作し続けている。
 6年ぶりとなる個展では鉢やつぼ、茶わんなど近年仕上げた約60点を出品。このうち「さぬき青瓷マット鉢『青』」は、艶を抑えた水色と素焼きによる土色のコントラストが鮮やか。白を基調とした「さぬき泥彩彫文鉢」は、漆芸の彫りの技巧を取り入れた緩やかな波紋が存在感を放っている。
 伊藤さんは「材料は同じ凝灰岩でも、土と炎の力によって異なる作品が生み出せる陶芸の奥深さに浸ってもらえたらうれしい」と話した。
 15日午後3時から、伊藤さんと川鶴酒造の川人裕一郎社長によるトークショーなどがある。

(四国新聞・2023/10/09掲載)



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