かつて栗林公園(香川県高松市栗林町)にあった動物園の思い出をテーマにした写真コンテストの作品展が、同公園商工奨励館で開かれている。動物との触れ合いを楽しむ家族写真にエピソードを添えたパネル13点を展示。栗林公園動物園の在りし日のほのぼのとした光景を今に伝えている。4月7日まで。


栗林公園動物園の思い出をテーマにした写真展=高松市栗林町、同公園


 写真展は、同動物園の閉園から今年で20年を迎えるのを機に、その歴史を後世に伝えようと開催。県民から「当時を思い出させる催しがあれば」との声が寄せられたことも開催の理由となったという。
 同動物園は、実業家の故・香川松太郎氏が県営の小動物園を譲り受ける形で1930年に開園。60年代のピークには年間約60万人の家族連れらでにぎわったという。その後、レジャーの多様化や施設の老朽化などに伴い2002年10月に休園、04年3月に閉園した。元副園長の香川洋二さん(78)は「かつて動物園は子どもの憧れで、一大レジャーでもあった」と往時を振り返る。
 写真作品は昨年募集し、県内外の27人から63点が寄せられた。会場では審査で選出された入賞・入選作計13点をパネル展示しているほか、動物園に関する新聞記事も紹介している。
 最優秀に選ばれた高松市の建築士早谷川悟さん(62)のモノクロ写真は、約60年前に母親と訪れ、トラの赤ちゃんとベンチで並んで撮った一枚。「自宅から近く、子どもの頃よく遊びに行った。栗林動物園の歴史は私の歴史でもある」と思い出を書き添えている。ほかにも、小形のゾウの背中にまたがったり、ペンギンを観察して絵を描いたりと、思い思いに過ごす子どもたちの写真が並んでいる。
 夫婦で訪れた同市の医師伊藤玲子さん(69)は「よく子どもを連れて行ったのを思い出す。懐かしい気分に浸れました」と話していた。
 観覧無料(要入園料)。3月16日午前10時から商工奨励館北館で、香川さんが「栗林公園動物園~その歴史と背景~」と題して話すセミナー(入場無料)がある。

(四国新聞・2024/03/06掲載)



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