敦盛の生き様、歌と映像で 「オール香川県人」制作 新作オペラ「扇の的」 高松で26、27日
平家物語を題材にオール香川県人でつくる新作オペラ「扇の的」の第2弾「青葉の笛編」が26、27日に香川県高松市のサンポートホール高松で上演される。今作はドラマチックな歌や映像も駆使し、一ノ谷の戦いで非業の死を遂げた若武者・平敦盛の生き様を描く。公開を目前に控え、芸術監督の若井健司香川大教育学部教授は「後世に残る作品にしたい」と意気込んでいる。同ホールの開館20周年記念事業。
青葉の笛編は、屋島の戦いを描いた前作から時間を遡り、平家が一ノ谷の戦いで敗れ、屋島に落ち延びるまでを舞台化。脚本を劇作家で元琴平高校長の山本恵三、作曲を大阪芸大教授の田中久美子(高松市出身)、指揮を守山俊吾(直島町出身)、出演を香川ゆかりの声楽家が務める。
敦盛役は今年度の高松市文化奨励賞を受賞した国方里佳(26日)と越智慎悟(27日)のダブルキャスト。女性の国方が美青年と伝わる敦盛を演じるのが特徴で、男性らしく振る舞ったり、声の明るさを抑えたりと難しい役どころとなる。国方は「妻子のために生きたいという願いと、死なねばという思いに葛藤する10代の武者を演じたい」と意気込む。
今作はプロジェクションマッピングを使った演出も注目の一つ。馬が駆け下りる逆落としのシーンも大迫力の映像で表現する。「アニメのような見せ方で、幅広い世代が楽しめる。有名な物語なので、オペラの入門になれば」。演出を手がけた中村敬一はこう力を込める。
前作に続き音楽を担当した田中は「歌とオーケストラで平安時代の雰囲気を出すよう工夫した。登場人物の心情を描写したメロディーを味わってほしい」と呼びかけている。
26日午後6時、27日午後2時開演。入場料は一般4千円(前売り3500円)ほか。問い合わせは実行委、電話090-4976-8889。
(四国新聞・2024/10/24掲載)