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絵本「いのくまさん」の世界 谷川俊太郎が「猪熊作品」紹介 猪熊現代美術館・来月6日まで
洋画家・猪熊弦一郎を詩人の故谷川俊太郎が紹介する絵本「いのくまさん」をテーマにした常設展が、香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。猪熊の画業を253字で余すことなく表した谷川の文章とともに猪熊の絵画などを展示、絵本の世界に浸ることができる。7月6日まで。
絵本は同美術館が、子どもたちに猪熊について知ってもらおうと製作を企画。2006年に初版が発行された。タイトルは谷川が考案し、出版以降、猪熊のことを親しみを込めて「いのくまさん」と呼ぶ人が増えていったという。本展では絵画約30点と猪熊が集めていたおもちゃのコレクションを出品し、絵本の全文を壁面に記載している。
「いのくまさんは じぶんで じぶんの かおを かく」「ほかの ひとの かおも かく」とあるコーナーには初期から晩年の顔をモチーフにした作品が並んでいる。また、猫を描いた絵画の下には「いのくまさんは ねこも すき いっぱい いっぱい ねこを かく」と、飾らない言葉で無類の猫好きだった猪熊のことをつづっている。
抽象的な作風へと変化した後の作品のほか、最後は「いのくまさんは たのしいな」と締めくくられ、その言葉を体現したかのような色とりどりの絵画を展示。谷川が紡いだ言葉と猪熊の作品が見事に合わさった空間が広がっている。
担当学芸員は「谷川の文章を通じて、猪熊が楽しみながら画業に励んでいたことを知ってもらえれば」としている。
入場料は一般300円ほか(丸亀市民は無料)。問い合わせは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、電話0877-24-7755。
(四国新聞・2025/06/16掲載)