「小豆島」という名のハナショウブが、香川県小豆郡土庄町屋形崎のホテルで見頃を迎えている。地元の郷土史家・藤井豊さん(2011年死去)が明治神宮(東京)のハナショウブ園で見つけたのをきっかけに1987年から栽培し、藤井さんから株を譲り受けた女性が2023年2月、同ホテルなどに株分けした。梅雨空の下、薄紫色の優雅な花が観光客らの視線を引き付けている。見頃は今月末ごろまで。


薄紫色のハナショウブ「小豆島」に見入る観光客=香川県小豆郡土庄町屋形崎


 藤井さんが生前発行していた「小豆島新聞」によると、藤井さんが1974年に明治神宮を訪れた際、ハナショウブ園に「小豆島」と書かれた立て札があるのを見つけた。社務所に株分けを打診すると「公的機関になら可能」との返答があり、県農業試験場を通じて申し込んだ。「小豆島」の名前の由来は、明治神宮に資料が残っていないため分かっていない。
 藤井さんと親交のあった土庄町の女性が2006年に株を引き継ぎ、自宅の庭などで徐々に増やし、多くの人たちに見てもらえるよう、花卉(かき)栽培に注力しているオリビアン小豆島夕陽ケ丘ホテルなどに花株を寄贈。同ホテルでは今月初旬から花が咲き始め、連日開花しているという。
 観賞していた岐阜県美濃加茂市の原雅子さん(69)は「優しい色合いが小豆島の雰囲気とぴったり。上品な姿で、気持ちが穏やかになる」と話していた。

(四国新聞・2025/06/16掲載)



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