東山魁夷せとうち美術館(香川県坂出市沙弥島)で9月14日から秋の特別展「華ひらく日本の美~珠玉の吉野石膏日本画コレクション」(同館主催、四国新聞社など共催)が開幕するのを前に13日、同館で開展式と内覧会が開かれた。横山大観や上村松園、杉山寧ら日本画壇を代表する画家の作品を一堂に展示。来場者は伝統技法を受け継いで近現代に開花した“日本の美”をじっくり鑑賞した。会期は11月10日まで。


日本画の代表的な作品を鑑賞する来場者(東山魁夷の作品)=坂出市沙弥島、東山魁夷せとうち美術館


 優れた絵画の所蔵で知られる東京の建材大手、吉野石膏のコレクションを中心に、明治から平成にかけて活躍した21作家の作品約30点を展示。時代や個人の感覚を取り入れて成長してきた日本画の変遷をたどるのが狙い。

 近代日本画の大家、横山大観と共に輪郭線を伴わない「没線描法」の研究に取り組んだ菱田春草の作品は「雪中の鹿」を紹介。冬の森で鹿が振り返る一瞬を柔らかいタッチで描いており、毛並み一本一本まで表現している。現代日本画の礎を築き「日展三山」と呼ばれた東山魁夷、杉山寧、高山辰雄による色鮮やかな風景画のほか、美人画で知られる上村松園の作品も来場者の注目を集めていた。

 内覧会に参加した高松市番町の自営業白井早苗さん(30)は「時代が進むごとに色彩表現が豊かになっていると感じた。普段見られない魁夷の作品にも出合えてうれしい」と一点一点鑑賞していた。

 10月12日から作品の一部を入れ替える。同5日午後6時からはマリンバとフルートの奏者によるコンサートが開かれる。

(四国新聞・2019/09/14掲載)

香川県立東山魁夷せとうち美術館


所在地 香川県坂出市沙弥島224-1
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 月曜日(休日の場合は開館、翌日火曜日が休館)
TEL 0877-44-1333


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