東山魁夷せとうち美術館(坂出市沙弥島)で9月14日から、秋の特別展「華ひらく日本の美―珠玉の吉野石膏日本画コレクション」(四国新聞社など共催)が開かれる。横山大観や速水御舟、東山魁夷ら明治から平成にかけて日本画壇をけん引してきた画家の作品を一堂に展示。伝統技法を継承しつつ新境地を開いてきた日本画の変遷をたどる。会期は11月10日まで。



 優れた絵画の所蔵で知られる大手建材会社、吉野石膏のコレクションの中から厳選した21作家の本画29点に加え、同美術館が所蔵する魁夷の2点を紹介する。



 近代日本画の大家・大観は、日本美術院の創立、再興に参加するなど黎明(れいめい)期に活躍した。菱田春草とともに輪郭線を伴わない没線描法を確立したことで知られ、「蓬莱神山」(制作年不詳)は墨の濃淡やにじみだけで山々の幽玄な風景を表現している。



 戦前から戦後にかけての画家では、速水御舟や小倉遊亀らを紹介。速水は伝統的な色彩感覚を用いつつ、独自の繊細な描法を追究。「双鳩」(1921年)は、緻密な描写によってハトの羽毛の質感まで表現しており、速水の精神性がうかがえる名作。小倉の「若いひと」(62年)は戦後の新しい時代を生きる快活な女性像を描いている。

 現代日本画の礎を築き「日展三山」と呼ばれた魁夷、杉山寧、高山辰雄の作品も見どころ。濃厚な塗りで色彩をより鮮明にしたのが特徴となる。中でも魁夷の作品は四季の風景画7点が並び、代表作「谿若葉」(76年)は、暗い色合いの針葉樹と対比させることで生命力あふれる若葉を浮かび上がらせている。このほか現役で活躍している画家の作品も展示する。

 同館主催。観覧料は一般610円ほか。問い合わせは同館、電話0877(44)1333。

会期中のイベント

■学芸員によるミュージアムトーク
 14、28日、10月12、26日、11月9日の午前11時から。同館学芸員が作品解説する。観覧券が必要。
■夕焼けコンサート「マリンバとフルートによるジョイントコンサート」
 10月5日午後6時から同館1階ラウンジ。林千景(マリンバ)と近藤杏紗(フルート)が出演。無料。先着80人。

(四国新聞・2019/09/13掲載)

東山魁夷せとうち美術館


所在地 香川県坂出市沙弥島字南通224-13
営業時間 09:00~17:00(入場は16:30まで)
定休日 月曜日(休日の場合は開館、翌日火曜日が休館)
TEL 0877-44-1333


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