瀬戸内海の島々を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。「瀬戸芸」の愛称で全国区となり、香川が世界に誇る一大イベントへと成長した。3年ぶり4度目となる「2019」は、夏会期が8月25日までの日程で開催中。多彩なアートはもちろん、瀬戸内の風景や文化、島の人たちとの出会いを楽しめる。昨年末以降、海外大手メディアが瀬戸内や瀬戸芸にスポットを当てており、国際的な注目度も高まる一方だ。


好評を博している竹の建築物「小豆島の恋」=小豆島町中山

好評を博している竹の建築物「小豆島の恋」=小豆島町中山


 アートをきっかけに地域の魅力を掘り起こし、活性化へ導く-。これが2010年に始まった芸術祭の目的だ。複数の島を会場にした世界初の国際芸術祭は話題を集めた。13年開催からは春・夏・秋の会期制を導入。16年開催では、島の「食」をクローズアップするなど、さらなる魅力発信に努め、リピーターは4割に上っている。

 19年開催には欧米からも熱視線が注がれ、「ナショナル・ジオグラフィックトラベラー誌」英国版やニューヨーク・タイムズ紙が、瀬戸芸の舞台となる「瀬戸内」をピックアップ。旅行ガイドブックのシェア世界1位の出版社「ロンリープラネット」は、「アジア太平洋地域の訪れるべき目的地」の2位に、国内から唯一、四国を選出。香川関係では直島のアート作品の写真を添え、「瀬戸芸」を紹介している。

 4月26日に開幕した春会期では、小豆島町中山に展示している竹の建築物「小豆島の恋」などが好評。欧米からの来場者も目立ち、5月26日までの会期中、約38万7千人が来場した。1日当たりの来場者数は1万2480人で、3年前の前回(8768人)の約1・4倍に伸びた。

 7月19日には夏会期が開幕した。瀬戸内海の七つの島と高松港、岡山県の宇野港周辺を舞台に、新作アート17点を加えた158点を展示。注目は高松市の北浜アリー周辺で、丸亀うちわや希少糖など瀬戸内の資源をアートで表現した「北浜の小さな香川ギャラリー」がオープン。フランス出身のニコラ・フロックさんは海のプランクトンをモチーフに、観音寺市のメーカーに特注した麦わら帽子を使ってインスタレーションを展開。人工漁礁の写真と相まって海の中のような神秘的な空間を作り上げている。

 締めくくりとなる秋会期は9月28日から11月4日まで。爽やかな秋の瀬戸内を現代アート一色に染める。

(2019/08/08)


瀬戸内国際芸術祭2019

瀬戸内国際芸術祭2019 夏会期


開催日程 2019/7/19~2019/8/25

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