香川での体験を、旅の思い出に―。日本を訪れる外国人旅行客の間で、その地域でしか楽しめないツアーや体験中心の「コト消費」に注目が集まっている。外国人客が増加する県内で、人気の体験型観光を探った。

うどん学校 踊りながら生地踏み

 香川といえば、やっぱりうどん。中野うどん学校(琴平町)には、毎日のように台湾や香港などを中心に観光客が訪れ、うどん打ち体験を楽しんでいる。


観光客は軽快な音楽に合わせ、踊りながら生地を踏む工程を楽しんでいる=琴平町、中野うどん学校


 外国人客が「一番面白かった」と口をそろえるのが、生地を踏んでコシを出す工程。教室では軽快な音楽が流れ、時にはタンバリンなどの楽器を持って、リズムに合わせて踊りながら生地を踏む。隣で見ている人も踊りだして、汗だくになる人も。老若男女を問わず楽しんでうどんを作り、出来上がった打ち立てのうどんに舌鼓を打っている。

 食後は、うどんの作り方などが書かれた掛け軸型の「卒業証書」を受け取り、喜んで持ち帰っている。

中野うどん学校


所在地:高松校 香川県高松市成合町8
TEL:高松校 087-885-3200
所在地:琴平校 香川県仲多度郡琴平町796
TEL:琴平校 0877-75-0001

中野うどん学校

丸亀うちわ 歴史や製作工程学ぶ

 国の伝統的工芸品に指定されている丸亀うちわ。うちわの歴史や製作工程などが学べるうちわの港ミュージアム(香川県丸亀市港町)では、全部で47ある工程のうち、うちわの骨にのり付けして和紙を貼ったり、専用の鎌で余分な部分を切り落としたりする作業が体験できる。


うちわ作りを体験するポーランド人客=丸亀市港町、うちわの港ミュージアム


 ミュージアムにはポーランドから訪れる団体客が多い。市産業観光課などによると、旅行会社が日本文化を体験できる施設を探していたところ、外国人客らの評判がよかったことから東京や京都などをつなぐ「ゴールデンルート」の一部に組み込まれ、定番コースになったという。

 ポーランドはうちわであおぐ文化が身近ではないようだが、自分だけの1枚を持ち帰ってお土産にしている。

うちわの港ミュージアム


所在地 香川県丸亀市港町307-15
TEL 0877-24-7055

うちわの港ミュージアム

和三盆作り 精巧な模様かわいく

 カワイイ―。和三盆で作った干菓子が木型からコロンと出てくるとワッと歓声が上がり、外国人らは写真に収めたり、試食したりしている。

 和三盆体験ルーム「豆花」では菓子木型を使った干菓子作りが体験でき、精巧な模様や見た目のかわいらしさから外国人観光客にも人気。木型は四国で唯一の菓子木型職人で、県伝統工芸士の市原吉博さんが制作。富士山やオリーブ、亀など約10種類の木型を用意する。


菓子木型で和三盆の干菓子を作る外国人客=高松市花園町、和三盆体験ルーム「豆花」


 霧吹きで水分を含ませた粉状の和三盆糖をふるいに掛け、木型に砂糖を詰める。余分な砂糖をそぎ落とし、へらで軽くたたいてそっと木型の上板を外して取り出す。干菓子は箱詰めして持ち帰ることもできる。

豆花(まめはな)


所在地 香川県高松市花園町1-9-13
営業時間 10:00~17:00
定休日 木曜
TEL 087-831-3712 予約受付専用:090-7575-1212

豆花

着物 着付けして街を散策

ふくや呉服店では、浴衣や着物の一日レンタルサービスを提供し、多くの外国人が利用している。着付けを済ませると栗林公園を散策したり、フェリーで瀬戸内の島を巡って観光をしたりと楽しみ方はさまざま。


外国人観光客に人気の着物の着付け体験


 このほか、抹茶を楽しむ体験や、来年からは着付けをした外国人向けにガイドが付いて商店街などを案内するサービスを始める予定だという。

ふくや呉服店


所在地 香川県高松市丸亀町5-7
TEL 087-851-2179

ふくや呉服店

夜型観光

 夜のまちを楽しんでもらい消費を促す「夜型観光」の動きも出てきた。

 小豆島では、宿泊や交通事業者が山岳霊場での夜の護摩焚(だ)き体験プログラムを企画。午後4時ごろに出発し、小豆島八十八カ所霊場の札所で1時間ほど護摩焚きを体験する。夜は静寂さが増し、よりリラックスできるという。また、「日本夜景遺産」に選ばれた高松市の屋島山上からの眺めを楽しむナイトツアーも人気だ。

 20日も午前中に旧市街地を練り歩くほか、午後から宮入りし、かきくらべを行う。


夜の護摩焚き体験 小豆島交通株式会社

(四国新聞・2019/10/20掲載)


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