香川漆芸の祖・玉楮象谷や重要無形文化財保持者(人間国宝)らの作品を紹介する「讃岐漆芸の美」が香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。技を継承しつつ、感性を振り絞って独自の表現を生み出してきた作家たちの足跡がたどれる。29日まで。


玉楮象谷や重要無形文化財保持者(人間国宝)らの作品が並ぶ展覧会=香川県高松市紺屋町、市美術館


 今回紹介するのは13作家による33点。緻密な彫りを得意とする象谷のほか、讃岐彫の名工とうたわれた石井磬堂(けいどう)、歴代の人間国宝らを取り上げている。
 会場の中央に展示されているのが象谷の「堆朱(ついしゅ) 御篳篥筥(おんひちりきばこ)」。篳篥用の入れ物で、京都興正寺門跡・本寂上人の注文を受けて制作し、1851年に完成した。朱色の漆を重ねており、ふたの表面にうの花、側面に牡丹唐草(ぼたんからくさ)の柄を施したみやびやかさを放つ逸品だ。
 磬堂の「狭貫彫堆朱堆黒硯屏(さぬきぼりついしゅついこくけんびょう)」はすずりの前に立てる小型のついたて。中国晋時代の隠者たち「竹林七賢」などが彫られており、卓越した彫りの技術を間近に見られる。
 このほか、箱全体に大輪のツバキを彫った音丸耕堂の「彫漆 椿文手箱」や、松竹梅を題材に、香川漆芸の三技法や自ら編み出した「点彫り蒟醤(きんま)」の技法を用いた磯井如真の「宝玉箪笥(ほうぎょくたんす)」、情感豊かに瀬戸内海の様子を表した山下義人の「波がさね 蒟醤色紙箱」などが並び、漆の表現の奥深さを味わえる。
 入場料は一般200円ほか。問い合わせは同館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2026/03/05掲載)



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