アートな仏像に注目 “メタル毘沙門天”登場 雲辺寺
四国霊場66番札所・雲辺寺(徳島県三好市、淵川敬心住職)の本堂に、国指定重要文化財の毘沙門天立像をモチーフにした鉄製の“メタル毘沙門天”がお目見えした。制作したのは、県美術展覧会(県展)彫刻部門で2015年と17年に知事賞を受賞した彫刻家中井弘二郎さん(48)=高松市=。アートな仏像は参拝者から「鉄独特の重量感と威厳があり、力強い姿だ」と注目されている。
鉄製の仏像は一昨年の不動明王像に続いて2作目。同寺は毘沙門天立像を安置しているが秘仏として公開していないため、今年迎えた開創1230年の記念行事の一環として模した毘沙門天像に親しんでもらおうと、淵川住職が中井さんに再び制作を依頼。開眼法要を終えて公開されている。
メタル毘沙門天は高さ約2メートルで、鉄板を溶接して作られている。振り上げた右手には武器の戟(げき)、左手には宝塔をささげ持ち、鉄が持つ質感が神々しくもある。中井さんは1年をかけて仕上げたといい、「身にまとう複雑な甲冑(かっちゅう)は板を重ね合わせながら時間を要した。眉間のしわなど尊厳のある表情もこだわった」と話している。
同寺は「令和の後世に残る芸術作品。平成の不動明王同様、参拝者の心の支えになるのではないか。皆さんの信仰心の芽生えにつながればありがたい」としている。
また、雲辺寺は本堂内を白や赤色の発光ダイオード(LED)でライトアップ。本尊の千手観音菩薩(ぼさつ)などが幻想的に浮かび上がり、話題を呼んでいる。
(四国新聞・2019/12/31掲載)
雲辺寺
所在地 | 徳島県三好市池田町白地ノロウチ763 |
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TEL | 0883-74-0066 |