蒟醤(きんま)の重要無形文化財保持者(人間国宝)の磯井如真(1883~1964年)と正美(93)=いずれも高松市=の親子展が、県文化会館(高松市番町)で開かれている。香川漆芸の発展に寄与した2人の作品が一堂に並び、蒟醤の表現法の変遷がうかがえる。2月16日まで。



 如真は香川漆芸の祖と称される玉楮象谷(たまかじぞうこく)(1806~69年)の研究を通じ、立体感などを表現する点彫り蒟醤を創案。美術工芸の研究会を結成するなど香川漆芸の発展に努めた。如真に師事した正美は新たな技法を次々に考案し、蒟醤の表現の幅を飛躍的に広げた。現在は県漆芸研究所の講師として後進を指導している。

 親子展は県漆芸研究所が主催。所蔵品の中から如真の6点と正美の8点を紹介している。

 如真の「蒟醤香盆(こうぼん) 双瑞鳥之図(そうずいちょうのず)」(1958年)は、伝統的な線彫りで植物などを緻密に描き、瑞鳥の頭部は点彫りによって柔らかく表現。正美の「蒟醤彫漆潮騒箱(ちょうしつしおさいはこ)」(78年)は、ふたの面に彫漆で力強い波を描写。側面は点彫りを応用した往復彫りで穏やかな波を表現し、両面を対比させている。

 入場無料。問い合わせは県漆芸研究所、電話087-831-1814。

(四国新聞・2020/01/09掲載)

人間国宝 磯井如真・正美展


所在地 香川県高松市番町1-10-39
営業時間 9:00~17:00(金曜日は19:30まで)
定休日 12月29日から翌年の1月3日まで
TEL 087-831-1806


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