坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館で「森羅万象を描く」と題したテーマ展が開かれている。魁夷(1908~99年)が風景画家として出発する前の版画から、日本の山々を描いた作品までの東山魁夷せとうち美術館収蔵品を紹介。自然や動物に生命の輝きを見いだした魁夷の画境をたどる。26日まで。


東山魁夷が風景画家として出発する前の作品が並ぶ=坂出市沙弥島、東山魁夷せとうち美術館


 1階展示室のテーマは「深山の霊気」。奥穂高岳や黒部峡谷など日本の山々が題材の版画14点を展示。いずれも山並みに立ちこめる霧や雲、流れる滝を表現しており、魁夷らしい幽玄の世界観が感じ取れる。奈良・唐招提寺の障壁画を制作するためのスケッチを基にした作品にも注目。

 2階展示室のテーマは「南国の煌(きらめ)き」。魁夷が風景画家になる前の39(昭和14)年頃に、東南アジアの人々や動物を描いた本画6点を紹介している。これらは「目黒雅叙園(現ホテル雅叙園東京)」の天井画として制作されたが、日の目を見なかったという。東南アジアの装飾文様を背景に、現地で神聖視されている白い動物や踊り子などを色彩豊かに描いた作品も並ぶ。

 入場料は一般310円ほか。問い合わせは東山魁夷せとうち美術館、電話0877-44-1333。

(四国新聞・2020/01/09掲載)

東山魁夷せとうち美術館


所在地 香川県坂出市沙弥島224-13
営業時間 9:00~17:00まで(入館は16:30)
休館日 月曜日(休日の場合は開館、翌日火曜日が休館)年末年始(12月27日~1月1日)展覧会準備期間
TEL 0877-44-1333


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