小豆島霊場第60番札所の江(ごう)洞窟(土庄町)は、その名の通り洞窟の中に本尊の弁財天を祭っている。近年、パワースポットとして話題になり、国内外から参拝者がひっきりなしに訪れているという。若き日の弘法大師が修行をしたとされるこの場所で、現代人たちが自分を見つめ直す時間を過ごしている。


玉のような大きな石を見上げる。梵字の「あ」は全ての物事の始まりという意味もあるという


 江洞窟は弘法大師が悪魔を封じ、自ら刻んだ弁財天を祭ったと伝わる。弁財天は脳の病気や蓄膿(ちくのう)、中耳炎など首から上の病気にご利益があるとされている。
 ひっそりとした場所だが、参拝者は多い。居合わせた一人のお遍路さんが「ここは人が多いですね」とぽつり。庵主の戸梶明さん(72)によると、昨年は1年間で8万人もの人が訪れたのだとか。


洞窟周辺の景色にも目を奪われる=いずれも土庄町


 参拝する人たちのお目当ては他にもある。隣接するもう一つのお堂に祭られた、硬い花こう岩でできた大きな玉のような石だ。中央に書かれた文字は梵字(ぼんじ)で、大日如来を表す「あ」と書かれているという。

 石の周りは砂岩で、砂は長い年月を掛けて少しずつ落ちていくため、いつかは石が落ちてきてしまう―。まさに諸行無常の世界だ。

 石からは大きなパワーが出ているといい、拝観した人の中には「手がビリビリする」「背中が熱い」と話す人もいるという。しかも、そう語る人の多くが女性で、戸梶さんは「お大師さんと縁のある人は、嫌でもここへ来るんですよ」と話す。

 「自分がどうなりたいか、自分らしく生きるとはどういうことか考えてみて」と戸梶さん。厳しい波が押し寄せる洞窟の中で修行に励み、自身と向き合った若き日の弘法大師の姿が頭に思い浮かんだ。


洞窟周辺の景色にも目を奪われる=いずれも土庄町


 土庄港から車で約15分。問い合わせは、電話0879-62-5211。

(四国新聞・2020/02/11掲載)

江洞窟(小豆島霊場第60番札所)


所在地 香川県小豆郡土庄町柳
TEL 0879-62-5211


関連情報