江戸時代、風邪に苦しんでいた法然寺(高松市仏生山町)の住職が食べて痰(たん)が切れたという逸話にちなむ「たんきり飴(あめ)」。1872(明治5)年創業の菓子店「徳栄堂」は、たんきり飴を作り続けている同町唯一の店だ。約10年前からは体験教室を開いており、幅広い世代に伝統の味を伝えている。


飴の生地が固まりきらないうちに平らに延ばす作業に挑戦=高松市仏生山町、徳栄堂


 たんきり飴は平らな円形と固い食感が特徴。ショウガや粗びきの白ごま、大豆などが入っており、かんで食べると香ばしい香りがふわっと広がる。4代目店主の徳田安生さん(69)と妻の照代さん(62)が創業当時からの製法を守り、一つずつ素早く、丁寧に作り上げている。

 教室は1週間前までの予約制で、4、5人以上で申し込める。校外学習として体験に参加した小学生が成長し、自分の子どもを連れて訪れたこともあるのだとか。

 この日はかがわ長寿大学を2015年に卒業した県内の19人が参加。安生さんからたんきり飴のいわれを聞いた後、煮詰めたショウガ入りの水飴を専用の道具で切り分けたり、生地が冷めないうちに指で延ばしたりといった作業に挑戦。体験は1時間ほどで、完成品は袋に詰めて持ち帰ることができる。


徳栄堂のたんきり飴は添加物を使わず、昔ながらの製法で作られている


 多度津町から参加した田中利恵子さん(67)は「祖母が作ってくれたような懐かしい味。成形するのが難しかったけれど、楽しかった」と充実した表情を見せた。

 【メモ】体験料は800円。体験教室は店の営業時間に合わせて8:00~19:00ごろに開く。無休。問い合わせは、電話087-889-5555。

(四国新聞・2020/02/29掲載)

徳栄堂


所在地 香川県高松市多肥上町2339-7
営業時間 8:00~19:00頃
定休日 無休
TEL 087-889-5555
体験料は800円。体験教室は店の営業時間に合わせて8:00~19:00ごろに開く。


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