高松市の屋島北嶺にあった採石場について紹介する収蔵品展「屋島・黒石の丁場と石工用具」が、市石の民俗資料館(高松市牟礼町)で開かれている。戦前まで採掘されていた「黒石」で作った生活道具の展示や、屋島の採石場で行われた最新の調査報告を通じ、地元の歴史を伝えている。15日まで。


屋島の採石場の調査で見つかった黒石=高松市牟礼町、市石の民俗資料館


 石の民俗資料館によると、屋島の採石場は地元の問屋が廃業する昭和の初め頃まで使用されていた。火山礫凝灰岩(かざんれきぎょうかいがん)の黒石は、柔らかく加工しやすい上、火に強いのが特徴で、火鉢や灯籠などの材料として地元の人の生活を支えた。同種の石材で、豊島(土庄町)で採れる「豊島石」の名称でも流通していたという。

 本展では石の民俗資料館の収蔵品を中心に約40点を展示。このうち、市埋蔵文化財センターが1月に行った調査報告では、採石場の周辺で見つかった黒石5点のほか、採石の痕跡が残る洞窟内部の写真などを公開。会場に並ぶ黒石は円柱形や六角形に整形されており、どんな物が作られていたのか想像が膨らむ。

 石の民俗資料館に新たに寄贈された「石材売上帳」からは、黒石製品の種類や寸法、値段が読み取れる。このほか、黒石で作った粉ひき臼や漬物石などの生活用品、採石に使われた道具も並んでいる。

 担当学芸員は「牟礼・庵治町だけでなく屋島にも丁場があったことを知ってもらいたい」と話している。

 入場料は一般200円ほか。問い合わせは石の民俗資料館、電話087-845-8484。

(四国新聞・2020/03/12掲載)

収蔵品展「屋島・黒石の丁場と石工用具」


所在地 香川県高松市牟礼町牟礼1810
営業時間 9:00~17:00 (展示室への入室は16:30まで)
休館日 月曜日(休日の場合は翌平日)
TEL 087-845-8484


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