高松市玉藻町の県立ミュージアムでアート・コレクション「絵画と文字×比喩と象徴 メタファーとシンボル」が開かれている。県立ミュージアムの収蔵品から、文字を表現の一環として組み込んだ絵画や、絵のようにも見える前衛書などを紹介。ジャンルの枠を超えた展示を試みている。22日まで。


比喩的な表現を取り入れた絵画や書が並ぶコレクション展=高松市玉藻町、県立ミュージアム


 「絵画と文字×比喩と象徴 メタファーとシンボル」は、戦後日本の美術を代表する抽象画家吉原治良(1905~72年)の油彩画「作品(黒地に白円)」に学芸員が着想を得て開催。吉原は同時代の書家との親交が深く、「円(丸)」の文字や漢数字の「一」などを題材にした絵画を国際的な展覧会などで発表。諸外国からの書への関心を高めた。

 会場では吉原の同作に加え、書家や画家、漆芸家など県出身の12人を含む23人の27点を取り上げている。高松市の現代美術家浜野年宏が68年に発表した油彩画「日輪讃歌」は、数字の小さなスタンプを画面いっぱいに押して波のような模様を表現した作品。近づいて目をこらすと、1や8といった造形の違いを生かして模様を生み出していることが分かる。県書道界をけん引する書家小森秀雲の前衛書「沙羅」の隣に筆の代わりに足で絵の具を延ばして制作した油彩画が並ぶほか、漢詩をしたためたびょうぶの前面に漢数字を思わせるオブジェを配置するなど、多様なジャンルの作品を同時に鑑賞できる。

 観覧料は一般410円ほか。問い合わせは同ミュージアム、電話087-822-0002。

(四国新聞・2020/03/12掲載)

「絵画と文字×比喩と象徴 メタファーとシンボル」


所在地 香川県高松市玉藻町5-5
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日)
TEL 087-822-0002


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