昭和初期まで高松市の屋島で採掘されていた「黒石」とその丁場について紹介する収蔵品展が、高松市牟礼町の石の民俗資料館で開かれている。黒石を使った生活用品や採石道具、屋島北嶺にある丁場跡の最新調査成果などを紹介している。15日まで。


屋島で採掘されていた「黒石」とその丁場について紹介する収蔵品展=高松市牟礼町、石の民俗資料館


 黒石は、火山から吹き出したさまざまな破片状の物質が堆積してできた火山礫凝灰岩。豊島(土庄町)で採れる石と同種なことから「豊島石」とも呼ばれた。暗灰色で、耐火性に優れ、軟らかく加工しやすいことから、石臼や流し台、火鉢などの生活用品のほか、墓石、灯ろうなどの身近な製品の材料として用いられた。

 会場には、火鉢やひき臼、漬物石などの生活用品をはじめ、採石作業に用いられた溝を掘る「チョウナ」や鉄製のくさび「ヤ」、古文書など計約60点を展示。市埋蔵文化財センターが2018年度から5年計画で行っている丁場跡の発掘調査報告では、採石の痕跡が残る洞窟内部の様子や石材の採り方を写真を交えて紹介。洞窟の入り口近くで出土した円柱形などに成形された黒石も展示している。

 このほか、江戸時代から屋島の丁場が閉山する1941年まで黒石の採石・加工を行っていた事業者の「石材売上帳」も紹介しており、昭和初期の黒石の流通状況などをたどることができる。

(四国新聞・2020/03/14掲載)

収蔵品展「屋島・黒石の丁場と石工用具」


所在地 香川県高松市牟礼町牟礼1810(石の民俗資料館)
開催期間 2020/2/22~2020/3/15
営業時間 9:00~17:00(展示室への入室は16:00まで)
観覧料 一般200円/ 大学生150円/ 高校生以下無料
定休日 月曜日(休日の場合は翌平日)
TEL 087-845-8484


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