籃胎蒟醤 深遠な世界 「太田儔展」高松で22日まで
讃岐漆芸の表現の幅を広げた漆芸家で、昨年11月に死去した蒟醤(きんま)の重要無形文化財保持者(人間国宝)太田儔の作品展が、県文化会館(高松市番町)で開かれている。身の回りの自然を絵画的に表現した作品をはじめ、素地を作る際に用いた木型も並び、太田が生涯をかけて追究した技を紹介している。22日まで。
太田は岡山県出身で、蒟醤の人間国宝・磯井如真に師事した。竹ひごを編んで作る素地「籃胎(らんたい)」の研究に取り組んだほか、無数の線を彫ることで繊細な色の重なりを可能にする「布目彫り蒟醤」を創案、蒟醤の絵画的な表現の幅を広げた。高松工芸高などで教壇に立つ傍ら制作に取り組み、日本伝統工芸展で2度文部大臣賞に輝き、1993年には紫綬褒章、県文化功労者に選ばれた。
本展は県漆芸研究所が主催。県漆芸研究所や県立ミュージアムなどの所蔵品計15点を展示。このうち「籃胎蒟醤 茶箱 春風」(98年)はメジロとツバキを題材にした春の訪れを感じさせる作品。ツバキは布目彫りで色の濃淡を付け、花開こうとする様子を立体的に表現している。ユニークな舟の形が目を引く「籃胎蒟醤 盛器 熱帯魚」(86年)は、太さの異なる竹ひごを編み込むことでリズム感と色彩のグラデーションを生み出している。
このほか、太田が正確な素地を作るためのベースにした組み立て式の木型も公開しており、制作過程に触れることができる。
入場無料。問い合わせは県漆芸研究所、電話087-831-1814。
(四国新聞・2020/03/19掲載)
「太田儔展」
所在地 | 香川県高松市番町1-10-39 |
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開館時間 | 9:00~17:00 (金曜日は19:30まで) |
TEL | 087-831-1814 |