海を生かした観光振興を図ろうと、小豆島町が同町田浦の二十四の瞳映画村前の船着き場に浮桟橋を新しく整備した。橘漁港(香川県小豆島町橘)で使われなくなった浮桟橋を補修して移設。二十四の瞳映画村―オリーブビーチ(香川県小豆島町西村)間の渡し舟の発着場として使用するほか、内海湾にクルーズ船が錨泊(びょうはく)した際などの利用を見込む。


橘漁港から二十四の瞳映画村前の船着き場に移設整備された浮桟橋。固定桟橋(右端)と連絡橋でつながる=香川県小豆島町田浦

橘漁港から二十四の瞳映画村前の船着き場に移設整備された浮桟橋。固定桟橋(右端)と連絡橋でつながる=香川県小豆島町田浦


 浮桟橋は長さ約20メートル、幅約8メートル。町によると、1950年ごろに草壁港(香川県小豆島町草壁本町)に整備され、その後橘漁港へ移された。同漁港では荷揚げ作業の変化により、近年はほとんど使われていなかったという。

 一方、映画村前の船着き場にこれまであった浮桟橋は小規模で老朽化しており、さらに渡し舟の乗客は固定桟橋に移る際に階段を利用する必要があった。そこで今回、同漁港の浮桟橋を移設してバリアフリー化などの課題解決に当たることにした。

 移設に際しては、交通エコロジー・モビリティ財団(東京)から800万円の補助を受けた。工事は昨年10月から行い、滑り止め舗装などの補修のほか、固定桟橋と浮桟橋をつなぐアルミ合金製の連絡橋も新設した。工事完了は5月15日で、総事業費は約3千万円。

 今後、浮桟橋の運用は映画村を運営する岬の分教場保存会(理事長・松本町長)が行う。岬の分教場保存会の有本裕幸専務理事は「渡し舟のほか、内海湾に入ってきた大型客船の乗客が通船を使って上陸するための桟橋として使ってもらえれば。瀬戸内国際芸術祭などで島々を周遊するクルーザーなどの利用も見込んでいる」と話す。使用については映画村への事前予約が必要という。

 小豆島町では官民一体となってクルーズ船を誘致する活動を展開しており、昨年は「にっぽん丸」「ぱしふぃっくびいなす」「飛鳥Ⅱ」の3隻が計4回寄港。島には大型客船が接岸できる港がないことから、港の沖合に錨泊して乗客は小型の通船で上陸し、島観光を楽しんでいる。

(四国新聞・2020/05/20掲載)



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