小豆島でゲストハウスを経営する夫妻が、島八十八カ所霊場を巡拝する際に役立つマップ「小豆島遍路 Shodoshima 88Temple Pilgrimage」を発行した。外国人観光客にも遍路文化を理解してもらおうと英語を併記し、各霊場の所在はもとより遍路の歴史や装束など文化も紹介。夫妻は「島には昔ながらの山岳霊場が残っており、観光に来てそうした文化を知らずに帰るのはもったいない。お遍路は縁遠いと思わず、このマップを利用して気軽に体験してみては」と呼び掛けている。


小豆島霊場巡りに役立つ情報を盛り込んだマップと、発行したアイエアナロン・マシューさん、範子さん夫妻=香川県小豆島町田浦

小豆島霊場巡りに役立つ情報を盛り込んだマップと、発行したアイエアナロン・マシューさん、範子さん夫妻=香川県小豆島町田浦


 発行したのは、香川県小豆島町田浦で「センゲストハウス」を営んでいるアイエアナロン・マシューさん(41)=米国人=、範子さん(43)夫妻。それぞれ独身時代から四国八十八カ所を回るなど遍路文化に親しんでおり、2011年に結婚して松山市でゲストハウスを経営するようになってからは外国人宿泊客らに四国霊場巡りを勧めるなど遍路文化を広める取り組みをしてきた。

 夫妻は小豆島の豊かな自然や農村歌舞伎などの伝統文化に憧れて18年に移住。松山市在住時から島遍路を紹介する構想を練っており、移り住むと間もなく実行に移した。実際に各霊場を回ってルートを確認するとともに、マップに盛り込める観光スポットや飲食店などの情報も収集。地図製作やレイアウトなどは四国遍路の英語版ガイドブックをまとめた知人の松下直行さん(大阪府)に依頼した。

 7月8日に出来上がった「小豆島遍路」はA1判(縦6分割、横3部割折り)。表面に島の全体地図を掲載し、各霊場へのルートを紹介。札所間の距離や山岳霊場がある山の標高などが分かる縦断図も添え、巡拝の計画が立てやすいよう配慮している。

 裏面には88の寺院や堂庵、山岳霊場を色分けしたリストや、主要なエリアの拡大地図を載せ、遍路文化や島の名所を紹介するコーナーも設けた。また、付録として参拝時の作法を盛り込んだ経本も作った。

 構想から丸2年かかっての完成に、夫妻は「島には観光用の地図はあっても、山岳霊場までの道順をきちんと紹介したマップはなかった。これ一つあれば島遍路を安心して楽しめる」。フェイスブックで発信したところ、欧州を中心に海外から多くの反響があったという。「小豆島遍路」は1部千円(税別)。問い合わせはセンゲストハウス、電話0879-61-9980。

(四国新聞・2020/07/21掲載)


SEN GUESTHOUSE センゲストハウス


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