現代サーカスの魅力の発信に取り組む高松市の一般社団法人「瀬戸内サーカスファクトリー」(田中未知子代表理事)は、YonaYonaサーカス2020「夜の旅するサーカス」と題するイベントを3日夜、スタートした。初日は古い酒蔵をリノベーションした香川三豊市詫間町の「三豊鶴」を舞台に開催。酒蔵から着想を得た独特の世界観でパフォーマンスを披露し、満員の観客を夢幻の世界へといざなった。


谷口さん(右)と麻風さんによるシルホイールと大旗のコラボレーションパフォーマンス=三豊市詫間町、三豊鶴


 YonaYonaサーカス2020はサイトスペシフィックと呼ばれ、会場の雰囲気と調和させた「その場のために、その場所でつくる」公演。百数十年の歴史がある酒蔵の空間、さまざまな舞台装置を使ってどんな演出ができるかを話し合い、4日間で稽古も行って作り上げた。

 ひっくり返した酒樽(さかだる)をシャンデリアにした舞台。白い衣装の「Ciel La Veil」さんの足長パフォーマンスで幕開けし、大旗遣いの麻風さんは白い大旗をなびかせて、旗ならではの曲線美を表現した。

 谷口界さんはシルホイールという直径約1・8メートルの金属製のリングを自在に乗り回し、高速回転を見せると大きな拍手が起きた。

 吉田亜希さんはつり下げた布で体を支えながら空中を舞うエアリアルを披露。妖艶な演技で観客の視線をくぎ付けにした。

 パフォーマンスに続いて、田中代表理事と出演者、三豊鶴を運営するメンバーによるトークもあり、三豊鶴のメンバーは「取り壊されそうになっていた酒蔵に違う視点を当ててみたいという私たちと同じことを考えていただき、アートとして形になったのが印象的」などと感動を話した。

 客席は2回の入れ替え制で、1回当たり70人の観客が見守った。

 YonaYonaサーカス2020は4日夜には高松市の栗林山荘で開催。11月1日にかけて5会場で延べ6公演を組んでいる。

(四国新聞・2020/10/05掲載)


YonaYonaサーカス2020「夜の旅するサーカス」


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