日本工芸会四国支部(支部長・琴陵容世金刀比羅宮宮司)などが主催する公募展「第63回伝統工芸四国展」が14日、香川県高松市内町の高松三越新館5階催物会場で始まった。四国4県の作家らによる漆芸や陶芸など7部門の秀作が並び、磨き上げた技と感性を伝えている。19日まで。


作家の技と感性を伝える秀作が並ぶ「第63回伝統工芸四国展」=香川県高松市内町、高松三越新館5階催物会場

作家の技と感性を伝える秀作が並ぶ「第63回伝統工芸四国展」=香川県高松市内町、高松三越新館5階催物会場


 伝統工芸四国展は地域の工芸文化の発展を目的に1958年から毎年開催。今回は日本工芸会四国支部の会員32人と一般の21人から計87点の応募があり、このうちの入選作81点を展示している。香川県内からは49人の77点が入選した。

 最高賞の磯井如真賞には高松市の漆芸家・辻孝史さん(47)の「乾漆存清(ぞんせい)八角箱『三兄妹(きょうだい)』」が選ばれた。伝統技法の蒟醤(きんま)と蒔絵(まきえ)に加え、松葉を束ねたくしで漆をひっかいて模様をつけた変塗(かわりぬり)で水辺を飛ぶ3匹の赤トンボを表現。技法の斬新な組み合わせと、明るい水色を基調とした現代的なデザインが高い評価を得た。

 また、昨年11月に死去した漆芸家で蒟醤の重要無形文化財保持者(人間国宝)だった太田儔さんの名を冠した賞が人材育成などを目的に今年から新設され、高松市の漆芸家・北岡道代さん(43)が十二単(ひとえ)をモチーフにした「乾漆花器『絢(あや) かさね』」で同賞を受賞した。

 会場には、今月9日に蒟醤の人間国宝に認定された大谷早人さんら工芸界の重鎮の作品も並び、注目を集めていた。

 例年、会期中に行っている出品作家の列品解説は、新型コロナウイルス感染防止のため、取りやめた。

 香川県内のほかの作家の入賞者は次の通り。(敬称略)

 ▽漆芸=山下亨人(高松市)島田誠(三木町)
 ▽陶芸=平岡朋美(高松市)藤沢徳雄(三木町)黌農美重子(多度津町)
 ▽人形=久保誠子(高松市)

(四国新聞・2020/10/15掲載)

第63回伝統工芸四国展


会場 高松三越 新館5F催物会場(香川県高松市内町7-1)
開催日時 2020/10/14(水)~10/19(月)10:00~19:00(最終日は17:00まで)
TEL 087-851-5151(高松三越)


関連情報