重厚感ある漆作品並ぶ 善通寺で大西忠夫展
善通寺市の名誉市民で漆芸家の故大西忠夫さん(1918~2007年)の作品展が同市文京町の市美術館で開かれている。色漆や金箔(きんぱく)などを塗り重ねて彫る彫漆の技法を駆使した重厚感のある作品が来場者の目を引いている。18日まで。
大西さんは筆岡村(現・善通寺中村町)生まれ。1955年に日展特選を獲得し、日展審査員を3度務めるなど漆芸界の発展や後進の育成に尽力した。84年に県文化功労者、99年に名誉市民に選ばれた。その功績をたたえようと、市が毎年作品展を開催している。
21回目の今回は、新型コロナウイルス対応に当たる医療従事者に感謝の気持ちを示すため、青色にライトアップする取り組みが広がっていることを受け、青を基調にした作品など計42点を展示。
縦2・1メートル、横1・8メートルの屏風(びょうぶ)「山月」は、深みのある青で山々を表現しており、金箔でかたどった月とのコントラストが哀感を漂わせている。白馬などの動物をモチーフにした独自の世界が広がる作品や、晩年に精力を注いだ漆額の連作「四国八十八ケ所霊場シリーズ」もあり、来場者の興味を誘っている。
琴平町から訪れた男性(56)は「ユニークな作品ばかりでどれも印象的。ぜひ制作風景を見てみたかった」と話した。
(四国新聞・2020/10/14掲載)
善通寺市美術館
所在地 | 香川県善通寺市文京町2丁目1−3 |
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開館時間 | 10:00~18:00 |
休館日 | 月曜・祝日・年末年始 |
TEL | 0877-62-4924 |