香川県善通寺市吉原町の四国霊場73番札所・出釈迦寺(岡田幸恵住職)の境内に、古事記に登場する知恵の神「久延毘古(くえびこ)」を祭る社が建立された。これに併せて新しい御朱印とお守りの授与も始めた。同寺では知恵の仏も祭っており、「幅広い層に参拝してもらうきっかけにつながれば」と期待を寄せている。


知恵の神の社を建立した出釈迦寺。新しい御朱印とお守りの授与も始めた=香川県善通寺市吉原町

知恵の神の社を建立した出釈迦寺。新しい御朱印とお守りの授与も始めた=香川県善通寺市吉原町


 出釈迦寺の本尊は釈迦(しゃか)如来。本堂には弘法大師作の釈迦如来と、脇仏に不動明王と知恵の仏「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」が祭られている。弘法大師が四国霊場を開創する際、虚空蔵菩薩の真言を100万回唱える「虚空蔵求聞持法」という修行を行ったといわれている。

 久延毘古は山の田んぼにあるかかしの姿をしており、「山田のかかし」とも呼ばれる。一本足で一日中田んぼの中で立ち、常に世の中を見ていることから、知恵や学業、田の神として信仰されている。

 出釈迦寺では代々、住職の間で「『クエンビコさん』が知恵の第一人者」と伝わっているという。今回は、この言い伝えにちなんで久延毘古の社を建立、17日に神の分霊を迎える勧請(かんじょう)を行った。出釈迦寺によると、久延毘古を祭っている神社は全国的に少なく、寺で祭っているのは極めてまれだという。

 社の建立に併せて、新しい御朱印とお守りも作り、同日から授与を始めた。かかしをデザインしたもので、キャラクターのような柔らかいタッチにすることで親しみやすい雰囲気に仕上げた。

 岡田住職は「知恵の仏様と神様が祭られており、悩み事などで知恵を貸してほしいときにぜひ訪れてほしい」と話している。同寺では25日13:00から久延毘古をテーマにした「青空法話」を開く。

(四国新聞・2020/10/23掲載)

四国霊場73番札所・出釈迦寺


所在地 香川県善通寺市吉原町1091
TEL
0877-63-0073


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